2018年8月23日木曜日

[2018年7月26日-27日)南アルプス・仙丈ケ岳登山 (前篇)

※文字のみの記事です。
※画像を加えてみました。

2018年7月26日 ~ 27日

Youtube動画

甲斐駒ケ岳の時にダブル登山を果たせず、登れなかった仙丈ケ岳に行ってきた。
仙丈ケ岳は穏やかで雄大な山だと聞く。
今回は、甲斐駒ケ岳で懲りた「かたつむり方式」は止めて、BC(ベースキャンプ)方式でサブザックによる身軽なアタック型登山にしてみた。
日程は2泊3日。
台風12号が迫ってきているのが気になるが、影響が出始める前に帰ってくる・・・はずだった。

夏休み期間に突入したので、平日を狙って行った。
BCは北沢峠近くの長衛小屋。さすがに今回はイベントも無く静かに過ごせるだろうと思って行ったが、甘かった。
今回は南アルプス林道バスも繁忙期ダイヤで頻繁に出ているので、JR甲府駅から広河原経由の近いルートを通った。
平日のため、満席を予想したバスは比較的空いていた。
これは期待できる、と思ったのだが・・・。

北沢峠にAM9:25到着。長衛小屋までは歩いて数分の距離。
ところが、テント場は既に色とりどりのテントで埋め尽くされていた。
ええー・・・
甘かった。日本の夏山はどこも大混雑なのだ。


そそくさと受付を済ませて、入口近くにたまたま空いていたスペースにドームシェルターを張る。
しかし、お隣さんが撤収するときに「そこは横の水路が溢れて浸水しますよ」と教えてくれた。
慌ててお隣さんの張っていたスペースに引っ越し、なるべく水路から離して張り直した。

暑い。炎天下だ。
今回、穏やかな山とはいえ3000mを超す山なので、アタックザックで携行するツェルトを持ってきた。
そのツェルトを広げ、ドームシェルターにくくりつけて無理矢理タープにしてみた。


うんうん。なかなか快適だ。ちゃんと日陰を作ってくれる。
ただし、ツェルト生地は完全に遮光は出来ないので、なんとか木陰を利用する形で居住空間を作った。

ソーラーチャージャーもセット

水場が隣にあるので、人の往来は頻繁だが、どのみちこの混雑では静かな環境なんて得られない。
難民キャンプもどきだが、日本の夏山真っ盛りに飛び込んだわけで、当然といえば当然だ。
いつも人っ子一人来ない野宿ばかりなのだから、たまにはコレを楽しむのもいいだろう。

うだうだしているうちにお昼がせまって来る。今日は米を炊くつもりで家にあった普通のあきたこまちを持ってきた。今のうちに吸水させておこう。

テントの品評会のようなテント場をぶらぶらしたり、沢のほうへ降りてみたりしているうちにお昼近くなった。
まずはご飯を炊く。

定番になってきた炊飯。
お米はどこにでもある、あきたこまち。無洗米とかではない。
およそ0.8合。この頃一合メシがきつくなってきた。
吸水はしてある。水をちょっと足して、米の表面から人差し指の第一関節くらいの水量。

おおよそ、で十分。少なすぎなければよい。
クッカーは底にアルミ蒸着などの無い、素のチタンクッカー。
これを、EPI REVO-3700という炎円の小さい、焦げ付くといわれる最悪のチタンとの組み合わせで炊く。
もちろん、焦げ付かせなどしないでちゃんと炊ける。コツは終始弱火で通すこと。
まずクッカーに蓋をして火に掛ける。弱火なのでなかなか沸騰しないが、決して火力は上げない。そのまま、沸騰するまで待つ。
沸騰してきたらクッカーの蓋を外す。水分を飛ばすためだ。混ぜなくても放っておけばいい。ちょっと不安なら混ぜてもいい。どちらでも構わない。


そして水分が飛び、米の表面が出てきたらクッカーに蓋をする。火はあくまで弱火。
沸騰しているから、水蒸気が噴き出す。少しすると、米がチリチリと小さな音をたて出す。
この音がしてきたら、火からクッカーを下ろす。あまり長い時間火に掛けていると焦げる。
火から降ろしたら、夏場で20分以上、冬場で30分以上、タオルか何かにくるんで蒸らす。

タオルにくるむのは保温するためで、何でもいい。私はタオルなどにくるんで、シュラフカバーをかけたシュラフにくるんでしまう。もちろん、保温は最強である。

さて、ご飯はこれで出来たので、次にカレーを温める。具がごろごろ入っているレトルトカレー。ちょっと重いが、どうせ消費してしまうものなので、頑張って運んでさえしまえば後は食べるだけで、結構贅沢が味わえる。
クッカーは炊飯に使っているので、450mlのマグカップに水を入れて沸騰させ、温める。
レトルトパックの上半分は出たままだが、ちゃんと熱々に温まってくれるから大丈夫。


もうひとつ。サラダを作ろう。
「シャキッとコーン」と「ツナフレークパック」はどちらも常温保存可能なので心配無し。タレビンに入れたドレッシングは今朝用意したもので、まあ今なら大丈夫だろう。
キャベツも今朝冷蔵庫から出してきたもの。ホントはレタスが欲しかったが、まあいいでしょう。
ZIPLOCKに、厚さ2mmの断熱銀マットを切ったものを二つ折りにして、それに挟んできた。

保冷効果は微々たるものだが、まあ大丈夫でしょう。

キャベツを千切り(百切り?)にする。以前はフツーサイズのBUCKナイフを使っていたが、最近はちっこいレザーマンのミニナイフで事足りてしまう。
切ったキャベツはとりあえず空にしたマグに入れていく。案の定、3枚では多過ぎた。


そうこうしているうちに、ご飯の蒸らし終了。
蓋を開けると、カニ穴もばっちりに炊けている。
これを!縦に!!半分に寄せる!!!
そう、私は「カレーは鍋型のクッカーじゃないと盛り付けが絶望的に美しくない」と思ってきた。いっそ、紙皿のほうがいいか、とも。
上からぶっかける手ももちろんあるが、どうも、抵抗がある。カレーはご飯と半分に盛り付けてこそ、日本のカレー足り得るのだ。
しかし、鍋型のクッカーは絶望的にパッキングしづらい。パッキングを何年も四苦八苦してきて、私の下手糞パッキングは縦型クッカーしか相容れないらしい。
ならば、縦型クッカーでカレーとご飯を仲良く縦半分にすればいいではないか、と。
これぞ、縦カレー。


馬鹿馬鹿しい思い付きだが、今回の山行の目的は半分がコレだと言ってもいいかもしれない。
チタンのスプーンでクッカーのご飯を片側に寄せる。むむむ、ご飯がスプーンにくっつきまくってやり難い。
あまりにくっつきまくるので、お箸も出動させる。むむむむむ、これまたくっつきまくる。なんということだ。
こりゃ、尾西の白飯に付属している小さなスプーンが欲しいかも。
どうにかこうにか、半分に寄せた。
そこへ、カレーを投入。おおおおー。美しい。ちゃんと半分に盛り付けられるではないか。縦カレーの誕生である。

さて、クッカーの蓋にサラダを盛りつけよう。
まず、キャベツをマグから移す。そして、ツナ。おお、結構量があるな。えい、全部いけそうだ。そして、更にキャベツ。ぎりぎり盛れるか?
無理矢理片寄せで盛ったところに、シャキッとコーン。そしてドレッシング。


よしよし、縦カレー&サラダのセット(スキットルのバーボン付き)の出来上がりである。
いただきます。
んまいー。

真昼間から炎天下で度数40のウイスキーをぐびぐび飲むんだから、脱水や熱中症に十分注意しなければならない。ってか、絶対人には勧められないな。

幸い、なんとか木陰を維持し続けてくれているので、ちょっとお昼寝しよう。
どうせ夕方までやることないし、退屈だし。
この暇と退屈は、私の人生の宝だ。
ハット型帽子を顔に被って、インディ・ジョーンズのように寝る。いい気持ちだ。

どれくらいたっただろうか。だいぶ暑さがマシになった。
地図でコースを確認したり、Goproやスマホを確認したりして、例によってうだうだしているうちに、夕刻が近づいてきている。

いやー、それにしても賑やかなテント場だ。学生さんの山岳部がいくつか来ているらしい。小さな子供連れのファミリーキャンプも見られる。

陽がテントに当たっているうちは暑くて中にはいられたもんじゃないが、すっかり夕方になって暑さも和らぎ、外に出してある荷物をどんどんテント内に入れて我がソフトハウスに潜り込む。
夕飯の準備。今度も米を炊く。メニューは和食。缶詰のさんま蒲焼にフリーズドライの味噌汁、それにスーパーで見つけた缶詰の卯の花。こんなのがあったんだなあ。これはいいものを見つけた。


登山をする人には、三食カロリーメイトで構わないとか、7泊もの縦走で全部アルファ米雑炊とか、凄い人がいるが、私には無理だろう。
贅沢は即重量に跳ね返るが、なるべく重複しないバリエーションを考えないと、山行の半分がうんざりしたものになってしまう。ストイックな山人にはあるまじき贅沢者で、私は

決してそうはなれないのだろう。
でも、いいのだ。その分、私は頑張って担ごうと思っている。
食の楽しみは捨てたくない。缶詰やレトルトやカップ麺の貧相な食事でも、楽しく、美味しく、飽きずに食べたい、と思う。

その貧相な夕食を美味しく済ませ、明日の行動予定を再確認。
今回はアタック型登山で、サブザックを用意した。中身は、ツェルト、ファーストエイド&エマージェンシー・キット、長袖起毛シャツ、レインウェア上下。それに、水。今回は甲斐駒ケ岳の惨状を踏まえて3L用意する。うち、2Lは少々重いが飲みやすいドイターのザックに付属していたハイドレーションパックにポカリスエットを規定量2L分、入れる。もちろん、相当に濃いと感じるだろうが、盛夏の中行動するので大量の汗をかくことが予想される。脱水症状や熱中症が怖いので、多少濃くても薄めず規定量でいく。プラス、プラティパスに1Lの、合計3L=3kgを担いでいく。


先にネタバラシになってしまうが、実は、行動中は相当消費したと思ったが、帰ってきてみれば、消費した水分は1L前後だった。なんということだ・・・。

明日は、前回のリベンジであるアルファ米おにぎりを持っていく。今度こそ、食べるのだ。
そのため、AM2:00に起きる。もう寝よう。

トイレに出てみたら、満月だった。どうりで明るいわけだ。
あまりにもきれいな月だったので、Goproを三脚で向けてみた。写らないだろう、と思ったが、案外ちゃんと撮れていた。


トイレに行く通路に近いスペースでもあるので、我がテントのすぐ横を人が歩く。そうでなくてもとても人の多いキャンプ地。
通勤に使うハードロックを聴きながらバーボンに酔っぱらって眠りに落ちた。おやすみなさい。

AM2:00。
ダースベイダーのテーマ「帝国のマーチ」で目を覚ます。
回りも結構起きている人がちらほらいるらしい。

とりあえず寝ぼけまなこをこすって、コーヒー。やっぱりパックでもドリップコーヒーは
美味しい。

アルファ米にお湯を注ぐ。15分ですぐ出来る。
その間に、どん兵衛きつねうどん。これは食欲減退時に食べられるようにとっておこうと思ったが、他にもリフィルはあるので、今朝の気分に合わせてこれにした。


そして、アルファ米でおにぎりを2個作る。


ザックとサコッシュを用意して外に出し、テント内の整理。
少なくとも7~8時間は空けることになる。万が一の大雨の場合でも大丈夫なように、シュラフや着替えは大ザックに入れてザックカバーで厳重にカバーし、更にマットにくるんだ。
臭いそうなゴミ類だけはテント外に出し、動物にやられないように大石で囲む。
テントの入口ファスナーは小さなダイヤルロックの南京錠をかけた。
もちろんナイフなどでテント側面を切られれば簡単にやられてしまうが、逆に幸いなことに今回は常に人目のある環境だ。これでなんとか大丈夫だろう。
もちろん、心配な人は山小屋に預けるか、あるいはやはりザックごと担いでいくしかない。

AM4:30、出発。あらためてテント場を見ると、すごいテントの数だ。平日を狙ってきたが、ほぼ満席状態。これで休日になると、どうなってしまうのだろう。


北沢峠方向に歩き、一度林道に出ると、すぐに仙丈ケ岳への登山道が現れる。これは実はショートカットであって、本道は北沢峠から始まるらしい。
細い橋で沢を渡り、登山開始。


と、橋を渡ったところに「北岳みはらし台」という案内があった。徒歩3分らしい。
少し登るとすぐに着いた。Goproを向けてみたが、空が明るく飛んでしまって写ってなかった。
北岳はしばらく樹林帯から見え隠れしていた。

前方にファミリー登山者っぽい数人の人々。今日はがつがつ登る気は毛頭無いので、カメラテストなどで色々な固定方法を試しながら、ゆっくり登っていく。
ショートカットだけあって、なかなか急な斜面だ。

AM 6:25。
ほどなく「二合目」に到着。右に下りれば北沢峠。左が仙丈ケ岳方面。


多少の岩はあるが、比較的穏やかな樹林帯の山道だ。

AM 6:53。
三合目にもすぐ着いた。あっけない。


AM 7:11。
四合目にもすぐに到着。


が、徐々に岩の道が荒れてきている。若干、危険個所っぽいところもちらほら。

順調に登っていくと、前方に多くの人々。学生さん達っぽい。
と、ここが五合目の大滝の頭だった。


つづく

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