2016年1月9日土曜日

奥多摩・雲取山ウルトラライトでテント泊登山 2015年12月26日-27日

奥多摩の雲取山にウルトラライト装備でテント泊登山してみた。

*Youtubeに動画をアップしました。
【雲取山】ウルトラライトで冬山登山(テント泊)その1:登山&装備紹介編
【雲取山】ウルトラライトで冬山登山(テント泊)その2:キャンプ編

いつものツェルトではなく、今回はMontBellのULドームシェルター1型。ツェルトは朝になるとてろてろに張綱が緩んでいることが多く、なんとなくちゃんと自立ドーム型のこっちにしたかった。
いきなりULからやや脱線気味だが、確かにその分は快適に過ごせた。



ザック総重量は8.7kg。アイゼンやダウン上下、ダブルストック、食糧など、全てを含んだパッキング重量。
冬山のテント泊登山としてはULなら合格ラインではなかろうか。


朝5時に家を出る。
いつもは始発バスで行くが、ダイヤが変わって、僅かに2分差で目的の電車に乗れない(立川発の奥多摩直通)
八王子駅まで10kmを、自転車で走る。
毎日自転車通勤しているルートなので、ザックがやや重いくらいで別に苦にはならなかった。
ついでに契約している八王子駅の月極屋内駐輪場も使えるので更にお得感が。

電車は大して混んでない。が、ガラガラというわけではない。
立川でJR中央・青梅線の奥多摩直通に乗り換える。かなり空いているが、例によって団塊登山者御一行様がいらっしゃり、途端に賑やかになった。
まあ、人気スポットの奥多摩に行くのだから、遅かれ早かれ様々な年代の登山集団に飲み込まれることになるのだ。
しかし、この電車、メジャーな雲取山へ登る鴨沢ルートへ行く奥多摩駅発のバス時刻に微妙に間に合わず、1時間ほど寒空で待たされることになる。
実はそれが狙い目で、その1時間をなんとか出来れば、満員バスに揺られて33分間立ちっぱなしになるはずのことろを、ほぼ先頭に近い順番で乗車出来るのだ。
この次の電車だと、奥多摩駅到着後は皆ダッシュでこのバス停に殺到することになる。
くだらない回避術だが、単独者には快適な方法だ。


鴨沢バス停で下車。ここから雲取山山頂までは、標準歩行時間で5時間20分。
ちょっとした山道を30分ほどで抜けると、町営の駐車場がある。午前9時30分、既に駐車場はいっぱいで、そこかしこに所構わず道路面に車が留められている。うーん。

今日はせっかくウルトラライト装備なので、山頂まで一気に登ってしまう予定だ。
途中、昼食時間を挟むことになるが、いわゆる行動食として、歩きながら昼食を済ませる。

水は、ザック外ポケットに500mlのプラティパス、飲みやすいようにアクエリアスの粉末でスポーツドリンクにした。水だけだと、ちょっと喉に引っかかる感じがするためだ。アクエリアスは規定量にしたが、案の定、濃すぎた。


本当はハイドレーションにしようかと思ったが、この季節は1500mを超えると気温によってホースが凍結してしまうので、そのままサイドポケットに突っ込んだ。
帰り道では、やはりプラティパスの中身は若干凍ってしゃりしゃりいっていた。
この他に、2Lのプラティパスに500mlだけ予備を持ち、水は合計1L=1kg。
途中で補給出来るので、野宿の半分で済むのがありがたい。

1000m位のところにある水場で、早々と予備に500mlほど補充した。
この水場の後は、1830mにある奥多摩小屋まで水場は無い(七つ石小屋にはある)
夏場など、途中にちょろちょろと湧水が見られるが、飲めるとは限らない。一見、清水に見えても、菌や水質などで強烈に腹を下す場合もある。ちゃんと水場指定されているところで給水したほうがいい。
あるいは浄水フィルターを使うか。

比較的のんびりしたペースだと思っていたが、奥多摩小屋まで3時間半しかかからなかった。


標準タイムより1時間速い。


私は別に健脚なわけではなく、むしろすぐに膝を痛めたりするので貧脚な部類なのだが、ULであることと、行動食にした事が効いたのだろう。



いつもは途中で1時間に10分ほど休憩を入れていたが、これも省いた。というのは、10分休憩後、歩き出し難く感じることが多かったからだ。
なんでもこれは筋肉が冷えるせいらしい。そこで、意識してペースを落とし、無休憩という作戦をとったのだった。
ザックが十分に軽くなくては出来ない、ULならではの歩行方法だろう。


確かにこの方法はマイペースを保つにも時間短縮にも有用のようだ。
ただし、帰宅後に地獄の筋肉痛が待っていたが。

奥多摩小屋でトイレを借りて、ふたたび山頂を目指す。ここからはかなりの急登が待っている。
これまで通りにゆっくりと休まずに登り続けた。


途中、雲取山避難小屋直下のガレた斜面で、2台のMTBが下っていった。マジかよ・・・
ここを乗車で下るテクニックも驚きだが、12kgはあるだろうフルサスのMTBをここまで担ぎ上げたことにも驚いた。凄いなあ。

確か、避難小屋脇に水が出ていたはず・・・と思ったが、整備されていて、無くなっていた。
いずれにしても「水場」では無いはずなので、飲料にはできないだろう(雨水らしい)
雲取山荘の水場が出ていれば良し、凍結で出ていなかったら営業販売のミネラルウォーターを購入か、それも叶わなかったら奥多摩小屋まで引き返してテントを張ろう。

東側から回り込んで山頂に到着。奥多摩小屋からはほぼ標準タイム。
トータルではおよそ1時間の短縮だった。


山頂には人がちらほら。都心からアクセスが良く、また日本100名山でもあるので、真冬とて人は絶えない。
ちょっと景色を眺め、早々に山頂を後にした。1分もいなかったのではなかろうか。
私はいつもこんな感じだ。絶景とはいっても、しばらく眺めれば満足してしまう。
雲取山荘目指して埼玉県側を下る。

山頂からの下りはかなり急で、おまけに積雪していた。


もっとも、グリップは良好でアイゼンは不要だった。いつ装着しようか、と考えているうちに、山頂付近の急斜面は降りてしまった。
若干、道が怪しい感じもあったが、途中からは緑のロープが山道沿いに張り巡らされていて、迷うことはなかった。
30分下って、山荘に到着。


テント泊の料金を支払う。500円。
水場はやはり凍っているとのことで、営業販売しているミネラルウォーターを購入しようとしたが、1Lに限り分配しているという。
ありがたくお願いしたが、水は貴重なはずで、恐縮してしまった。ここはやはり固辞して購入すべきだったのだろうか。まあ、ヘンなカッコ付けとも見えてしまいそうで委縮してしまい、おとなしく1Lいただいてしまった。ありがとうございます。
1Lあれば、夜朝の自炊には十分。


時間は十分早かったはずだが、既に2~3張のテントが張られていた。


真ん中あたりのスペースに張る。ちょっと陽があたってぬかるんでいるが、贅沢は言えない。
さすがテント場。地面は真平らだ。いつも野宿なので、久々に平たい地面で寝られるのがうれしい。
インナーポールは張るのにちょっとうっとおしいが、ちゃちゃっとドーム型に設営。
入口のメッシュに少々泥が付いてしまった。乾いたところで払い落とすつもりが、速攻で凍結していた。


うわー、と思ったら、気温は現在マイナス5度らしい。後から来た家族連れ一向が話していた。
多機能腕時計のSUUNTO VECTORを持って来たが、まさかの電池切れ。


1年持たなかったんじゃないか?たまたまハズレのボタン電池だったのだろうか。

今回のザックはOMM Classic32。その名の通り32L。OMMは「オリジナル・マウンテン・マラソン」の略で、このメーカーはザックの有名ブランド「karrimor」の息子が立ち上げた、トレランのためのアイテムがメインの会社とこのと。


Classic32は、確かに生地は薄いが、不安になるほど素材を削りに削るULブランドではなく、そこそこの品。
特筆すべきは背面パッドとして仕込まれているDUOMATというクローズドセルマットで、4つに畳まれていて、広げると40x80cmのマットになる。かなり薄いが、意外に暖かいらしい。
今回試してみようかと思ったが、さすがにこの凍土の上に敷いた状態だと、はっきりと冷気が伝わってくる。


これだけで就寝は無理なので、おとなしく持ってきたMontBellの90cmエアパッドを使う。


なんだかんだとごそごそやっているうちに、夕暮れになってきた。夕食にしよう。


夜はレトルトの麻婆丼。豆腐もごろごろ入っているタイプで、温めるだけ。
米は普通のあきたこまち。今夜と翌朝のご飯として2合弱持ってきた。
小さ目のウインナーを6個。スノピのシングルマグでボイルして、湯はクノールのコンソメスープに。ウインナーをボイルした出汁はさすがに捨てるのは惜しく、でも登山じゃ凝ったスープなんて作れないし、インスタントにしてもクリームスープやポタージュには無理なので、必然的にコンソメスープになった。特に違和感は無かったものの、期待したほど絶品にもならず、普通に美味しかった。
シェラカップに持ってきたお米の約半分を入れる。正確には測ってないが、問題無し。水を注いで20分ほど吸水させ、そのまま弱火で炊飯。まあまあ上手く炊けた。
レトルトの麻婆丼をのせる。一度には全部乗らないので、半分くらい。
コンソメスープをウインナーの出汁で作り、シェラカップの蓋をお皿にしてウインナーをのせ、タレ瓶に入れてきた粒入りマスタードとケチャップ。タレ瓶は、夏に保冷バッグに他の食材などと入れて運んだら、ザックの中で押されて中身が出ていたことがあった。それ以来、定位置はマグの中。ここなら潰れない。


いただきます。
今回もお酒はアーリータイムスだが、スキットルの重量も惜しんで、ポケットペットのまま。
そのままストレートで飲む。なんだかアメリカ南部のダメ親父風である。


インナーポールにプラのSカンをひっかけて、ヘッドランプをぶら下げてある。
どうでもいい話だが、私はヘッデンだとか山ヤだとか、そういう登山趣味人の使う用語にどうも抵抗がある。なんとなくスカしているような気がしてならない。聞いててむず痒くなるのだ。
まあ、自分で使うに抵抗があるだけで、別に他人が言うのは構わない。あくまで趣味の問題だ。
今回、ヘッドランプに被せるMontBellクラッシャブルランタンシェードは持ってこなかった。
あれ、確かに丁度いい具合に明るく拡散してくれるのだが、床に置いて天井に向けた状態のヘッドランプを、シェードの上部内側にある反射素材に当て拡散するようになっているため、天井にぶら下げた状態のヘッドランプに被せると真下位置が暗くなる。
私はテントの天井からヘッドライトをぶら下げた状態で使うことが多いので、私の使い方には合っていなかったのだろう。・・・ん?待てよ?ヘッドライトぶらさげる時にライトの角度をぐいっと曲げれば、ホヤ部分が横になって下側も照らすのでは?今度試してみよう。

ヘッドランプは、Princeton Tec BYTE。小さくでシンプルで私好みだが、単4電池2本で動作のためか、氷点下の気温では動作がやや不安定だ。

夕飯を食べ終わって、ミックスナッツと大人のチョコボールをつまみ、アーリータイムスをちびちび飲みながら、地図を見る。


明日はどこから下ろうか。

だいぶ寒くなってきた。上下にダウンを着ていても、かなり冷える。
おまけにMontBellのULドームシェルターは天井の前後に常時開放のメッシュ窓があり、常に冷えた風がスカスカ通っている。
このシェルターは冬季使用禁止。生地に通気性が無く、換気のメッシュ窓が凍結すると窒息する。
だから、冬は常に入口をちょっとだけ開けている。寒いけどやむを得ない。自己責任として死亡事故を回避する。

そういえば、MontBellは初心者とかシロウトとか、あるいはチ○ンベルとかいろいろと罵倒されるが、大きなお世話だ。私は昔から使っている道具をそのまま使っているだけで、確かにシロウトで初心者であるそのままなわけだが、こうしてUL登山、それも冬山であってもちゃんと使える道具なのだ。メーカーに特別な思い入れは無いが、5300mのヒマラヤトレッキングでも使っていたものも、そのまま使えている。シェルターもツェルトもMontbellなのは、色が緑で落ち着
く私好みという理由なだけ。安くて選びやすい製品の良いブランドではないか。

ちょっと早いけど寝てしまおう。
DUOMATの上に90cmのMontBellエアパッド。足元はOMMザックでいいが、エアパッドとちょっと段差が出来るので、アウタージャケット(20年前のヤッケ)を畳んで敷いた。
ISUKAのシュラフカバー。これも20年モノ。その中に、MontBellスパイラルダウンハガー#5と#7を2重にする。ファスナーの開け閉めは面倒だが、もう慣れた。
これに上下ダウンを着て寝れば、マイナス10度までは問題無く眠れる。
面倒だが、高額な冬シュラフが無くてもイケルし、#5と#7があれば通年使えてしまう。いいではないか。
今回は、ちょっと背中に冷気を感じた。それに、やはりテント内を通り抜ける風。これが寒かった。
2Lのプラティパスは防寒帽を被せてその上から速乾タオルを巻いて枕にする。こうすると、頭の体温が伝わって、中の水は凍らない。
0.5Lのプラティパスとアーリータイムスはシュラフの中。手に触れる位置に置くが、触れると冷たいので、手袋をして寝た。
足元にハクキンカイロ。これが冬の最強アイテム。足の裏を押し付けて眠ると、ホントに暖かい。
気温はマイナス8度らしい。外から家族テントの声が聞こえてくる。

寝る前に1度トイレに。
今回は”光るペグ”を持って来た。


くだらないギミックかもしれないが、なんとなくシャレでいい。
自分のテントもすぐ分かって便利。

テントに戻り、シュラフにもぐりこむ。
ドローコードを引っ張って頭を覆い、妙に明るい満月に照らされた緑の壁面をぼんやり見ていたら、眠りに落ちた。

AM5:00。スマホから目覚ましのスター・ウォーズ「帝国のマーチ」(ダース・ベイダー卿登場)
もちろん、ごく小さな音量。まだ他のテントが起きている気配は無い。隣のオジサンは一晩中イビキをかいていたようだ。

トイレに行って、朝食の準備。
朝は、イワシの生姜煮。缶詰ではなく、ビニールパックのものがある。それに、シェラカップ炊飯とフリーズドライのなめこ汁。
ご飯はちょっと焦げてしまった。原因は、ストーブの火力がやや強かったせい。
EPI110カートリッジは厳寒期用が無く、冬山では火力が不安定で、不安に感じてやや大きくしてしまったせいだ。


ご飯を食べ終わる頃、他のテントの活動の音が少しづつ増えてきた。


撤収準備。ULだと撤収も楽だ。手早く片付けて、シェルターから出る。
ガイラインを外す。設営のとき、ペグは半分ほどしか打ち込んでいない。頭まで打ち込むと、翌日の凍結で、熱湯をかけるなりしないと絶対に抜けて来ないからだ。半分でもかなりがっちり凍結していて、抜くのに苦労した。
中にもぐり、マジックテープを外してインナーポールを抜く。
入口のファスナーを閉めるが、シェルター生地は開けておいて、メッシュ窓にしておく。畳むときに空気が抜けやすいようにだ。昔からの習慣。
ポールを収納袋に収めて、最後にシェルターの四隅のペグを抜く。たまに突風が吹いているので、飛ばされないように注意した。
シェルターは大雑把に畳んで、ザックの外メッシュに挟む。こうすれば、濡れてても汚れてても気にならない。


設営後をチェックして、出発。
奥多摩小屋方面へ、巻き道を使って石尾根に出るルートを使う。
じきに雪道になり、やや凍結気味なので、アイゼンを装着。


ザクザクと歩いていると、対向から登山者の方が。山荘までのおおよその距離をお伝えし、巻き道の様子を教えていただいて、30分くらい歩いて石尾根に出た。

帰りは爪先が辛い。帰って靴下を脱いだら、でっかい靴擦れになっていた。どうも靴下が合っていなかったらしい。
ぼんやりと鴨沢ルートを通って下山する。途中、行き会った登山者の方に上の風の様子を聞かれた。
「もーのすごい突風なので、お気をつけて」とお伝えしたら、なぜかうれしそうに「まいったなー」とおっしゃってた。


爪先を気遣いつつ、長い鴨沢ルートを抜け、登山道を脱した。
山間の細い道路にも、町営無料駐車場も、あいかわらず車だらけ。この様子だと、鴨沢バス停も、いつものように長蛇の列かもしれない。ここはいつも満員なのだ。
そこで、途中で右に折れ、お祭り、所畑方面へ。所畑から乗ろう。
かなり長い舗装の九十九折れを下って、バス停に着いた。次のバスは1時間後。
まあこんなもんだろう。
陽にあたりながら残ったミックスナッツとチョコボールをぽりぽり。
アーリータイムスも飲んじゃおうかと考えたが、さすがに朝からバーボンで酒臭いのは不謹慎に過ぎるので、やめた。

ザックは見た目はパンパンでちょっとカッコ悪いが、中身はほぼシュラフとダウン上下なので、容量としてはまだ余裕がある。
今回は54LのGRANITEGEAR VIRGAでもよかったのだが、MTB冬装備を試したくてOMM Classic32にした。
VIRGAはMTBの乗車姿勢だと、後頭部のヘルメットに干渉するのだ。だから、32Lを試してみたかった。
パッキングはアイゼンを含めても問題無いことが分かったので、思ったよりずっと使いやすいザックのようだ。よかったよかった。
そんな事を考えていたら、バスが来た。
誰一人いないバスに乗り込む。そして、鴨沢で満員。いつもとおり。

奥多摩駅からのJR青梅線は空いていた。ただし、立川直通はこの時間帯には無く、青梅で乗り換えを余儀なくされる。

奥多摩はアクセスのいい、行きやすい山域なのだが、とにかく人が多く、電車やバス、登山路、山頂、テント場で、私のようなぼっち指向人間には気の休まる暇がない。
まあわざわざ奥多摩に行くのであれば、そんな期待はするな、というわけだが、自然は楽しめても気忙しさは拭えない、といった登山になる。
そんな事を気にする神経の細い人間もアレだが、なにしろ私の住む八王子から760円で行けてしまうので、このアクセスの良さはナニモノにも替え難い。
死亡の危険の高い雪山になることも滅多にない(滅多に、だが・・・。無いわけでは無い)手軽ないい山なので、私にとっては魅力的なエリアなのだ。

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