2018年7月29日日曜日

南アルプス 甲斐駒ケ岳 テント泊登山 (前篇)

2018年6月29日 - 7月1日

南アルプスの甲斐駒ケ岳に登った。

Youtube動画

実は、当初は甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳のダブル登山を計画し、その準備をしていった。
しかし、甲斐駒ケ岳があまりにも厳しく、翌日の仙丈ケ岳を断念した。
その経緯も記録しておこうと思う。



調べてみると、このダブルコースは結構ポピュラーらしく、しかしやはり様々な理由で断念しどちらか片方の登山で終わっているケースが多いらしい。
私もそのひとりとなった。

今回は計画段階からドタバタした。
「南アルプスの貴公子と貴婦人に登る」そんな素敵な謳い文句に釣られてよーしパパ登っちゃうぞーと計画してみたものの(我が家はパパママ呼称は禁止)、登山地図を見てみると北沢峠を基点に8の字を書くルートしかない。
おまけに北沢峠へは南アルプス林道バスでしか行けず、運行期間が限られている。

私の住む東京都八王子市からだと、電車とバスを乗り継ぎに乗り継いで、なんと8時間37分もの移動時間がかかる。
なんということだ!

なんとか6月中に休みを取って、と状況を調べていると、南アルプス林道バスの区間で崩落があり、6月中旬以降でないと復旧しない。仕事の休みもいつでも取れるわけではなく、万が一工事が伸びたりすると計画はあっけなく頓挫するので、6月下旬まで伸ばした。

延びた期間で準備も粛々と進み、さていよいよザックの準備をするか、と思っていたら、なんと仙丈ケ岳の山域一帯はテント泊は全て禁止とのこと。もちろん山小屋にもテント場は無い。
この計画は不可。仙丈ケ岳一帯はテント泊出来ない。

なんという痛恨のチェックミス。甲斐駒ケ岳に登ったあと、のんびり仙丈ケ岳を回ってくる予定が、どちらも8時間以上の歩行距離を要するプランに変更を余儀なくされた。

まあそれでも計画通りに行かないこともあるさ、と気楽に考えていたが、後々に自分の甘さを思い知ることになる。

6月29日 AM3:00

プレイステーション(初代)の起動音のスマホアラームで目を覚ます。
ザックの用意はしてあるので、準備は簡単だが、キャベツとケチャップとマスタードだけは直前にパッキングした。
食糧関係はほぼ全て常温保存可能なものばかりで構成したが、多少なりとも低温の必要なものは最後にザックにいれる。

AM4:10、家を出る。
朝焼けが始まっている。途中々々は雨の可能性があるため、雨具等はすぐ出せるようにしているが、出発時は晴れてくれていた。ありがたい。

朝焼け

AM4:28分の始発バスに乗る。


AM4:53、JR八王子駅に到着。
空はだいぶ明るくなっている。
空中回廊には七夕の飾り付け。強めの風に短冊がたなびいていた。


改札をSUICAで通り、中央線ホームへ。これが後ほど予定外の出費を強いられることになるとはこの時は知る由もなかった。
AM5:06の高尾行きに乗るつもりが、なぜかすでに発車ベルが鳴っている。あれ?1本前か?慌て気味に乗り込んでしまった。
高尾駅でAM5:14の大月行きに乗り換え、大月駅でAM5:53の甲府行きに乗り換え、AM6:46に甲府駅で松本行きに乗り換え。そしてAM8:03に岡谷駅に着。
ここで40分待ち。
AM8:43にJR飯田線飯田行きに乗り換え、AM9:28に伊那市駅に到着。
改札を通ろうとしたら、自動改札機ではない。え?なんと、SUICA利用可能エリア外でありました・・・
SUICAカードで精算も出来ず、3,350円の現金払い。本当にありがとうございました。


ここまで延々と4時間22分もJR線に乗ってきたが、これでもまだ半分なのだ。もう半分はバスを乗り継ぐ。

まず、伊那市営バスだが、次の高遠駅行きまで1時間13分の待ち時間。じたばたしてもしょうがないので、スマホで映画など見ながらのんびりバスを待つ。
ようやく来た高遠駅行きにAM10:41分乗車。


高遠駅(電車は無い、バスのみ)にAM11:04着、杉島方面行きにAM11:10乗り換え。ここで土砂降りにあった。幸い、バス停に到着した時は、次の杉島方面行きバスの真後ろで、そのまま乗り換えることが出来た。
AM11:37分、仙流荘バス停で下車。ここも土砂降りだった。が、じきに雨は上がって青空も垣間見えた。
ここでも33分待ち。カロリーメイトを2パック4個、プラティパスの水。これは、降車後の山小屋テント場までの40分ほどの登りを考えてのエネルギー補給。


そしてこの仙流荘で南アルプス林道バス北沢峠行きに乗り換える。乗車券を事前購入することを知らず、乗車直前であたふたしてしまった。
平日のせいか、乗客は私ともうひとりのおじさん。このおじさんはどうやら山小屋の人らしかった。
PM12:10発。そして北沢峠に13:05到着。
自宅から実に8時間37分の道程であった。


ようやく着いた・・・と言いたいところだが、ここはようやく起点に着いた、ということなのだ。これから今日の宿泊地の仙水小屋まで登るのだ。
北沢峠は2,032m、仙水小屋は2,130m。一旦1980mの長衛小屋まで下り、登り返す。

ところで、南アルプス林道バス(30人乗りくらいの小さなバス)の運転手さんより、寝耳に水な情報が。
今年は長衛小屋で「第60回長衛祭」があるそうで、この土日にばっちり当たってるとのこと。テント場を会場にして200人くらい集まり、そしてその団体が甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳に登山ツアー、ということだそうだ。
な、なんと・・・

北沢峠から長衛小屋に下ると、なるほど、かなり広いテント場には運動会テントがずらりと並んでいる。


その横を通り抜け、仙水小屋に向かう。

と、雨が強く降ってきた。
ここで先日Amazonで購入した重量わずか105g(電子秤実測)、1920円のレインジャケットの出番だ。レインパンツはいつものモンベル製。
ところが、おいおいおい、二の腕がみるみるびっしょりになり内側からレインジャケットの袖に張り付いた。これ、雨を防いでないだろ!


やはりこういうところにお金をケチってはダメ、ということらしい(´・ω・`)
ところが、帰宅してからシャワーで実験してみると、ペラペラな素材ではあるが、雨は一応防げているらしい。ただし、完全に防水ではないらしく、若干沁みてきている。
それよりも、この素材は透湿性は皆無で、たちまち汗で内側が濡れてくる。雨で濡れなくても汗で濡れるわけだ。
まあ、安いモノだからしょうがない。といあえず雨はなんとか防げるだけでもマシだろう。

13:50、仙水小屋に到着。


まず受付を、と山小屋のおじさんに声をかけたが、テントを張ってからでいい、と。
では、テント場へ行ってみましょう。
もう少しだけ登って、テント場。すでにいくつか張られていた。
ごく少数だが、テント場自体が小さい(11張)ので、すぐ横にもテントがある。私には新鮮だ。奥多摩でも去年の北岳でも、他者のテントはあるもののかなり離れていたが、今回は僅かな段差のすぐ上にどなたかのテントがある。

雨の中、さっさとモンベルのドームシェルターを張る。
と思ったら、雨雲の隙間から陽が差した。ありがたい。


荷物を放り込み、テント泊の料金を払ってくる。

適当に荷物を周囲にばら撒き、リッジレストSOLiteにごろりと横になる。
明日の行動予定を再確認。


明日は甲斐駒ケ岳に登る。登って降りてきて、予定のコースでは標準歩行時間が8時間30分。
休憩やなんだかんだで10時間ほどかかってもおかしくない。ということは、なるべく早く出たい。
それにしても、当初計画では甲斐駒ケ岳下山後は長衛小屋テント泊の予定だったが、あれで泊まれるのだろうか。ダメなら、もう1泊この仙水小屋に泊まったほうがいいかもしれない。
その翌日は仙丈ケ岳へ登る予定だから、できればこの仙水小屋でなく、基点の北沢峠に近い長衛小屋が望ましい。

どのみち、この10kgのザックを背負って行動することになる。
・・・が、これがこの山行計画を破綻させた決定的な原因となったのだった。

・・・なるべく早く出る、ということで、おそらく周囲が見えるくらいの薄暮(自衛隊では第一薄暮と第二薄暮というふうに分けているらしい)はAM4:30くらいだろう。
これまでの経験から私は起床から全てを済ませてザックを担いで出発、まで、2時間から3時間かかっている。非常にもたもたしている。
起床をAM2:00とすれば、頑張ってAM4:30に出発出来るだろう。
甲斐駒ケ岳は標高2,967m。ほぼ3,000mに近い。十分な睡眠が必要だ。ということは少なくとも6時間以上は眠りたいから、起床のAM2:00から逆算すると、PM8:00にはシュラフに潜り込まなくてはならない。良い子の寝る時間なのだ。
今、ここでうだうだすることも気持ち良い怠惰な時間だが、食事の時間などは計算して20時には全て完了している必要がある。

とはいえ、心ゆくまでうだうだする時間は十分にある。
シェルターを打つ久々の雨音を聞きながら、うとうとしたりしていた。

18:00、そろそろ夕飯を食べてしまおう。


今日の夕飯はさっぽろ一番みそラーメンとアルファ米半分。いわゆるラーメンライス。
とにかく体力を使う長時間行程なので、炭水化物を取っておきたかった。
それに、野菜。当初は野菜ジュースを持ってこようかと考えたが、紙パックは要冷蔵で却下、缶のタイプは凶悪な重量になるので、せめてラーメンにぶっこむキャベツくらいは、と思い、今朝冷蔵庫から数枚持ってきた。これでビタミンの補充は良しとしよう。

アルファ米は計4パック分持ってきた。このうち、3パックはアルミ包装パックから中身だけ薄ーいビニール袋(スーパーの会計後に詰め替える台の上にあるアレ)に詰め替えてきた。これも軽量化の工夫のひとつ。
しかし、ここでも凡ミスをかます。半ライス、のつもりで規定量100gのアルファ米を50gだけ唯一のアルミ包装パックに入れる(このパックは使い回す)
そして湯量は・・・ふむふむ、160ml、っと。
おいおいおい。そりゃ規定量の時の湯量だぞ。
それに気付かずにラーメン作りへ。キャベツを刻んで、まずくたくたにボイル。ちょっと持ってき過ぎたか。
一旦マグカップに除けて、クッカーでラーメンを作る。
しゃきっとコーンも入れる。だいぶ消費期限に近づいていて、見た目がちょっとヤバい感じだが、まあ消費期限内だし、大丈夫。
そしてキャベツを投入。なんとか盛れた。

シュラフからアルファ米のパックを取り出す。この保温のためにパックを1つだけ持ってきたのだ。
クッカーの蓋にアルファ米を・・・うををを。やらかい。とてもやらかい。そうだった。私が入れたのは規定量(160ml)のお湯であった。

まあ、食べるには支障ない。とにかくエネルギーを付けるために食うのだ。
いただきます!ウイスキーのスキットルもカモン!


ところで、モンベルのドームシェルターには当然前室など無い。ということは、登山靴は室内に入れるしかない。つまり、この雨の状況では登山靴を置く入口あたりは泥で大変汚れてしまう。
ドームシェルターは身長172cmの私が寝るとぎりぎりの長さしかない。さて、泥の入口をどするか。
まあ、どうもならんが、少しでも色々なものの汚れを軽減するべく、さっぽろ一番みそラーメンの包装を開いて敷物代わりにした。あるものはなんでも使うのだ。


そうこうしているうちにそろそろ20時になる。眠ろう。
今回、かなり徹底した軽量化をしてきたにも関わらず、枕だけはしっかり持ってきている。ISUKAの空気を入れるエアピロー。ちょっと高さがあり、私にはちょうどいい感じ。
これは、枕があると疲労回復が全然違うからだ。今回はキツい登山になりそうなので、あらかじめ予定重量にしっかり組み込んでおいた。
もちろん、こんな贅沢をしなくても、プラティパスとか防寒のフリースジャケットとかあるので、なんとでもなると思うが、寝心地の保証された枕はホントにありがたい。そのための89gなら、喜んで担ごう。
おやすみなさい。

6月30日

AM2:00、スマホのバイブレーションだけでは目を覚まさなかった。その次のAM2:05、スターウォーズ・帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)で目を覚ました。周囲の迷惑になってはと思いバイブレーションだけで起きるつもりだったが、気が付かなかった。もっともベイダーのほうはごく小さな音量と鳴り出した冒頭だけですぐ起きて止めた。

とりあえず、眠い目をこすり、お湯を沸かしてドリップコーヒーを入れる。贅沢。モカとキリマンジャロを持ってきた。学生時代、サイフォンで入れるコーヒーに凝りまくった。私はキリマンジャロが好き。でも、まずはモカ。うーん、おいしい。
朝ごはんはどん兵衛リフィル。時間優先で手早く済ます。


そして、昼めし用のおにぎりをアルファ米で作成。アルファ米を規定量の1.5倍で2個作る。これは、アルファ米1パック(100g)は「ごはん茶碗に大盛り1杯分」とのことなので、大き目おにぎり2個なら1.5パックか?と計算してみた。
結果、多すぎた。優に3個分ある。
しかし、偶然だが、2枚だけ持って来る予定だった焼き海苔が偶然3枚張り付いていて、具である梅干しは中途半端に2個余っていたのでふじっこ&梅干し2個でおにぎり3個分の具がある。3個作ろう。

アルミホイルを広げ、焼き海苔を縦に置く。周囲も含め塩をぱらぱらと撒く。
スプーンでアルファ米を焼き海苔の面積に合わせて薄めに置いていく。3等分を目指したが1個目が大き過ぎたようだ。


これを半分に折っておにぎりにするので、上半分の部分に具を置く。まずは梅干し。
そしてアルミホイルの下側を持って縦半分に折り曲げ、上部を折り、両側面をなんとなく三角形っぽく形を整えれば、手を汚さずにおにぎりの出来上がり。
これを、ふじっこバージョン、そして梅干しバージョンをもう1個づつ、計3個作った。

アルファ米おにぎり

さて、では一旦撤収で全ての荷物をザックにパッキングする。
幸い、雨は上がってくれていた。

0 件のコメント:

コメントを投稿