2018年11月10日土曜日

【リベンジも失敗】北アルプス雷鳥沢キャンプ場・突然の雪

2018年10月19日 - 20日

9月に暴風雨とレインウェア劣化で敗退した、北アルプス剣岳アタックのリベンジに行ってきた。
が、今度は突然の降雪で一気に雪山モードになり、またもや敗退。


私を拒む山だった。


前回の敗退の直接原因となったのは、レインウェアの劣化。ヒマラヤトレッキングに着て行ったお気に入りだったが、25年の時を経て防水・撥水の機能が失われ、ずぶ濡れとなった。
加えて、モンベルのULドームシェルターが暴風雨を防ぎ切れず、シェルター内が水深1cmとなり、シュラフも含めて全てが濡れ、続行が不可能となった。

今回の改善点は以下の通りでございます。

・アウタージャケットは新品の中華製7千円。耐水圧10,000mm、透湿度10,000gの謳い文句の強者。
・レインパンツは2千円の安物だが耐水圧5,000mmのしっかりしたもの。裾ファスナーで登山靴のまま脱ぎ履き出来る。
・45Lの防水スタッフバッグで、シュラフをはじめ濡れからは徹底的に守る。
・ドームシェルターを使用。視聴者さんからのアイデアでヤバそうな場合はツェルトを上から被せちゃう。
・食糧の軽減。前回は贅沢をし過ぎて4kgオーバーだったため、今回は2kgちょいに収めた。

とにかくトラウマ級の濡れから絶対に装備を守る万全の対策を練った。これならイケルだろう。

加えて、今回は4日間の日程で、予報は全て晴れ。剱岳の登山指数も全て「A」。完璧だ。
登山シーズンは冬季突入目前で、雷鳥沢は電話で問い合わせたところ「次の土日で閉めます」とのことで、剱沢小屋は既に冬季閉鎖。水場は凍結している可能性もあるので雷鳥沢から担ぎ上げるしかなく、トイレはもちろん携帯トイレを使う。
なかなか難儀な行程だ。

ザック重量は11.9kg。それなりに軽い。
始発のバスに乗り、昼にJR信濃大町駅に着いた。


交通費もなかなかの高額だ。なにしろ往復に2万円もかかるのだから、おいそれと来れないエリアでもある。
扇沢からトロリーバスに乗り、黒部ダムに到着。いいお天気だ。
人が多い。もちろん観光客。日本人は半分もいるだろうか。中国語と韓国語ばかり聞こえてくる。
お天気に恵まれて、素晴らしい風景が目の前に広がっている。
いつもは名所旧跡になどほとんど目もくれない偏屈な自分だが、思わず浮かれた気分になってしまった。年をとったのだろうか。
黒部ダムが観光放水している。虹も見える。
立山の素晴らしい山々が目の前に広がる。
眩しい青空を見上げながら、ゆっくりとケーブルカー乗り場に向かった。


ケーブルカー、ロープウェイ、そしてまたトロリーバスを乗り継いで、室堂へ到着。
ここもまた素晴らしい晴れだが、雲が目立って湧き上がってきている。そして凄い数の観光客。
重いザックを背負い、GoproをRECにして歩き出す。


行けども行けども観光客が途絶えない。これでは雷鳥も現れないだろう。
なるほど。雷鳥は雨の日に良く見られる、というのも頷ける。
ただ、そこここで鳴き声だけは聞こえていた。

風が冷たい。中華ジャケットを着ているので問題無い。
どんどん歩いていく。
前回、ガスの中で見えなかったミクリガ池や地獄谷もきれいに見えた。

しかし、途中でふと違和感に気が付く。
この中華ジャケット、暖かいのはいいが、いつものモンベルのアウターより異様に熱がこもって感じる。
モンベルのアウターは中綿入りで、この中華ジャケットよりも低気温向けだ。
それに・・・・この変な暖かさ。これはいわゆる「蒸れている」状態だ。上半身に湿気を感じる。
薄いくせにフロントのファスナーを閉め切ると、蒸れを感じてそれが暖かさとなっている。フロントを開けると上半身は解放されるが、肩や腕に蒸れが残っている。
つまり、透湿性がいまいち、ということだな。
うーん、ド新品でこれか。さすが中華クォリティというべきか。
まあ、ある程度は予想していたが、もうちょっと頑張ってくれると期待してたんだけどなあ。

30分ほど緩いアップダウンを繰り返していくと、雷鳥沢キャンプ場が見えてきた。
さすがにもうシーズンも終わりなので、がらがらだ。
ちょっと雲が出てきているので、急いで受付を済ませてシェルターを張ろう。

さて、どこに張ろうか。空いているので、場所は選び放題だ。
管理棟の近くはトイレが便利。ただ、人の行き来が多いので落ち着かない。
水場の近くではなくても構わない。私は一回プラティパスに汲んでしまえば、後は用が無い。

なんとなく、厄落とし的な気持ちもあって、前回と同じ場所にしてみよう、と思った。
張り方も同じにしてみる。

・・・なんだか、どんどんガスが下りてきている。晴れ予報だったのになあ。


ザックからシェルターをごそごそと引っ張りだし、スペースに広げていると・・・・ポツポツと雨が降り出した。
えええーー、マジか。天気予報ハズレ。
広げているテントに、雨粒と一緒に霰(あられ)が混じっている。うーん、とっとと張ってしまおう。
風があるのでシェルターが飛ばされないよう、ペグを打って行く。
とりあえず四隅にペグダウンしたところでザックなどの荷物を全てシェルターの中へ。
雨脚がだんだん強くなってきている。入口のファスナーを閉めた。

シェルターのショルダー部から四か所の張綱をペグダウンする。
そして、一旦入口を開け、ザックからツェルトを取り出す。
視聴者の方からアイデアをいただいた、シェルターにツェルトを被せる、という方法をやってみる。
モンベルのULドームシェルターは天辺にベンチレーターがあり、風があるとここから雨や雪が吹き込む。
前回の暴風雨ではこれに散々やられ、シェルター内は水深1cmとなった。
今回は防ぎ切れるだろう。

天辺部分は完全に覆えたが、もちろんこれでは通気はゼロだ。
もうひとつのベンチレーションである入口上部は塞がないように注意して被せた。


とりあえず、これでヨシ、と思ったら、ピカッと光って、ガガーーンン!!と雷が。うへぇ。
霰交じりの雨もだいぶ強くなり、急いでシェルターに潜り込んだ。

だいぶ雨脚が強くなってきて、霰が多めになってきた。
シェルターの入口を閉めると、生地に開いた穴から霰がぽポロポロ入ってくる。
あ、これはマズイな。何かで塞がなきゃ。
まず、テーピングテープを貼ってみる・・・が、若干生地が濡れていて全く貼り付く様子が無い。トイレットペーパーで拭いてみる。
・・・が、それでも貼り付かない。おやおや、生地に雨が沁みてしまっているのだろうか。
なんとかして塞ぎたい、と思い、絆創膏を貼ってみる。おお、これなら貼れるぞ。3枚消費して何とか穴を塞いだ。

しまった、プラティパスに水を汲んでしまえばよかったなあ。
まあ、しかたがない。ちょっと小雨になったら汲みに行こう。

さて、透湿性がイマイチとバレた中華ジャケットの撥水性・防水性はいかがだろうか。
Amazonでの謳い文句はこんな感じだ。

『耐水圧10000mm 透湿度10000g 防寒』

・シャワーの圧力 ⇒ 染みません。
・1時間量30-50mm(バケツを引っくり返したような非常に激しい雨)の圧力
 ⇒染みません。
・1時間量50-80mm(瀧のようにゴーゴーと降り続く猛烈な雨)の圧力
 ⇒染みません。
・ウェアを袋のようにしてバケツ一杯の水を運ぶ。
 ⇒染みずに運べます。
・体重75kgの人が濡れた場所に座ったときの圧力約2,000mm
 ⇒染みません。

なるほど、肩から腕にかけてバッチリ雨が沁みてますが。しかも20~30分の作業で。小雨からやや多めの雨量で。


撥水もダメですか。やはり中華クォリティなのか。

と、なんだかシェルター(とツェルト)の生地を打つ雨音がおかしい。なんだ、と思い前部のベンチレーションから外を見てみると・・・・な、な、なんだと!
雪景色になってるではないか。


どうやら、冬山直前、という予想は外れ、本日より冬山になってしまったようだ。

これは困ったぞ。
一応、万が一を考えて6本爪の軽アイゼンは持ってきている。
が、降雪のあった剱岳にコレで挑むのは、無謀だ。ましてや私には初めての山で、様子が分からない。
唯一の望みは、事前の予報通りに晴れてくれれば、僅かな降雪なら融けてくれるだろう、ということ。
そこで、まだかろうじてサービス継続中のAU電波を捉え、スマホで雷鳥沢、剱沢、剱岳の天気予報を見てみる。
※冬季山小屋閉鎖中は電波無し
・・・ダメだ。完全に荒天に変わってしまっている。今日明日は雨と雪。それもかなり降るとのこと。

まいったなあ。またダメか・・・
まあ、それも仕方がない。まさに山の天気は変わりやすい。一気に冬山に変貌してしまったわけだ。

少し降りがマシになったので、プラティパスに水を汲みに行く。
外へ出てみると、すっかり雪景色。まだ雪は降り続いている。


何の跡も無い雪面に足跡を付けて、水場に向かう。
とりあえず3L。1晩だけであれば1Lで足りるが、万が一豪雨に降り込められたり大雪に見舞われたりして籠城を強いられることになった時に備え、なるべく多目に準備しておく。

再びシェルターに潜り込む。

ベンチレーションは天辺が塞がれている。もちろん、通気は弱くなっている。入口の上部ベンチレーションは開いているが、万が一凍結などしてメッシュが塞がれたら、窒息してしまう。
なるべく、入口上部のファスナーは少し開けておいて、通気を確保しておく・・・・が、今はダメだ。
こんな僅かな隙間でも、雪が降り込んで来る。結構降ってるなあ。

みるみる、シェルターの各壁面に雪が積もって行くのが分かる。まだこの程度の降り具合では埋まることは無いだろうが、なるべく内側からバンバン叩いて落としておく。

荷物を整理したり、コーヒーを飲んだりしていると、いつのまにか、ちょっと晴れ間が出ていた。
外に出てみよう。


厚い、複雑な山間の雲間に、青空がちょっとだけ見えていた。
素晴らしい風景だ。

しかし、周囲の山々を見渡してみても、かなり積雪しているように見える。
やはり、よほどの好天、よほどの高気温でないと、安全にアタックできるほどには融けてくれないように思えた。
ましてや、予報ではまだまだ降りそうだ。
悔しくはあるが、剱岳アタックは中止にすべきだろうな。

トイレに行ったり、ツェルトの被せ具合を直したり、スキットルのウィスキーを飲んだりしているうちに、薄暗くなってくる。
夕飯にしようか。
今回の食材はいずれも前回分の残り。米もビニール袋に小分けにしたままのものを持ってきている。
他の食材はいずれも日持ちするものばかりだ。
その中から、米0.7合、甘栗むいちゃいました、缶詰の牛肉大和煮、フリーズドライの味噌汁を取り出す。

今日は栗ご飯にしてみよう。
米0.7合をクッカーに入れ、水を入れて吸水。・・・ん?ちょっと米に違和感が?少し古い米の匂い?いや、そんなことはないはず。家にあったあきたこまちを小分けにしておいたままのものだ。
そのまま45分、吸水。

SUUNTO Vectorの3回しか鳴らない小さな電子音を聞き逃さず、米を炊く準備。クッカーに水をだいたい規定量、つまり米表面から人差し指の第一関節あたりまで入れ、そこに甘栗むいちゃいましたを一袋投入。あとは炊くだけ。
いつもの通り、EPI REVO-3700の極弱火にかけ、いつも通りに炊く。
タオルにくるんでシュラフに埋めて蒸らしと保温。30分。

しばらくヒマ。スキットルのウィスキーをちょっと飲む。・・・が、喉が焼けるように熱かった。んん??なんだ?風邪でも引いたか?

米の蒸らしタイムから残り10分くらいで、マグカップにお湯を沸かす。
沸いたら、牛肉の大和煮缶詰を湯煎。サバ缶でもイワシ缶でも、蓋を開けて直火にかけると汁が沸騰で周囲に飛び散りまくるので、缶詰の温めは湯煎に限る。

またしても腕時計の電子音が僅かに鳴り、蒸らしタイム終了を告げた。
缶詰を取り出し、蓋を開ける。もうひとつの缶詰、卯の花は常温のままで。マグカップにフリーズドライの長ネギ味噌汁。
クッカーをオープン。炊け具合は・・・・んん?・・・やはり、ちょっと古い米のような匂いが・・・。
米の小分けのビニール袋保存(スーパーの袋詰め台にあるやつ)はダメなんだろうか。ちょっとヤバいか。
箸で確認してみると、焚け具合は良さそう。栗ご飯としてはどうだろうか。持ってきた塩をぱらぱらと振る。


いただきます。

米の僅かな匂いはともかく、栗ご飯としては上出来。まあレシピはインターネットに沢山出ているし。ただ、今回はこの甘栗むいちゃいました自体も前回のものを持ってきているので、賞味期限内とはいえ、1ヶ月ほどは経っている。
美味しいけど、本来はもっと美味しいはずなんだろう。

途中でもう一回、ウィスキーをちょっと。またもや喉の焼ける感覚。
やはり風邪なんだろうか。
それに、なんだかあまり食欲も出ず、だいぶ残してしまった。もったいない・・・(´・ω・`)
無理して食べても良くなさそうだし、適当なところで止めておいた。

雪はまだ時々降ってくる。ずっとシェルター壁面にさらさらと当たる音が鳴り続いている。
寝る前にもう一度、トイレに行っておこう。

登山が目的だったので、極力軽量化のため、グランドシートも無し。
リッジレスト SO-Lite 1枚のみだ。
それでも、あの冬山特有の、地面から来る鋭い冷気は感じられない。
だいぶ地面も冷たくなったなあ、とは思うが、1枚挟まないと座っていられないあの冷たさは、まだ無い。

寝床の準備をする。
今回は、前回外からの水分を防げなかったISUKAの古いシュラフカバーではなく、モンベルのGORE-TEX 3レイヤーのシュラフカバー。重いので普段は滅多に使わないが、今回から交代としてこれをレギュラーにした。
これならば透湿も防水も完璧だ。
シュラフはモンベルの羽毛5番と7番を重ねて使う。前回は5番だけ。
この5番は前回びしょびしょにしたので、お風呂のバスタブでぬるま湯洗濯洗剤で手洗いして、2週間干した。
見た目は完全に復活したが、性能はどうだろうか。(※問題なく暖かかった)
10月下旬、私にとって未知の北アルプス、標高2,375m。どれほど寒いのか。
分からないので、ダウンウェアの上下を持ってきた。これも25年前のヒマラヤトレッキングに持って行ったもの。ダウンはちょっとづつ抜けているものの、まだまだ全然問題無い。が、重い。上下で800gもあるのだから重装備だ。
今なら同じ機能のダウン上下で、重さは半分以下で済む。

ダウンシュラフは#5と#7を組み合わせても、おそらく#3の暖かさにはならない。寝て起きてみた時、シュラフとシュラフの間はそれほど温められていないのが分かる。
しかしそれでも、私は奥多摩の標高1800mのマイナス10度の積雪ツェルト泊で、これで問題無くぐっすり眠れた。
シュラフの適温は人により大きく個人差があるらしく、一般には少しオーバー気味の番手が勧められている。が、あまりオーバー過ぎると、今度は暑くて寝られない、ということになる。
私はビビリなくせに暑がりで、そのくせ若いころにホームセンターのペラペラ綿シュラフで冬の富士山5合目あたりの林道雪中ソロキャンプで震えて眠れない経験を何度もしているくせに、同じくビビって3シーズンにいつもオーバークォリティのシュラフを持って行って暑くて汗だくになる経験を何度もしているので、気温0~マイナス10度くらいならば、この組み合わせでちょうどいい。

ただし、潜り込むのが異様に面倒臭い。
まず、ISUKAの空気枕を膨らませる。このちょうどいい高さ、滑らない底面。もう手放せないのである。
シュラフカバー、#5、#7のファスナーを腰くらいまで開ける。
足先から潜り込んで、腰の上までシュラフとシュラフカバーをたぐり上げる。
ここまで出来たら、まずシュラフカバーを肩から頭くらいまでたぐり上げる。次に、その内側の#5、最後に#7。
ファスナーを、シュラフカバー、#5、#7の順に上げていく。
最後に、まずシュラフカバーを頭にすっぽり被せ、その内側の#5も頭に、最後に#7を被り、全体的に揃えて全身をミイラ化させる。
気温によっては頭部分はそのままルーズでいいが、寒さが厳しい場合はそれぞれのドローコードを引っ張って顔だけ出すようにする。
うーん、面倒臭い。

ちなみに、このモンベルのダウンシュラフは大きく伸縮性があり、そのままあぐらがかけるほど伸びるが、シュラフカバーをかけると全く意味が無くなる。もちろん、生地を伸ばすのは無理だ。
私はシェルターやツェルト泊ばかりなのでシュラフカバーは必須。だから、シュラフの快適温度は常にシュラフカバー込みで考える癖が付いている。

背中に僅かな冷えを感じる。
私は実は普段家で寝る時、敷布団が体温で僅かでも暑いと途端に眠れなくなる習性で、いつもごろごろと移動しながら眠っている。
逆に冬などは背中が暑くなるほど敷布団が温められないので、快適なのだ。
だから、なのか、冬のキャンプは私にとって天国のようなシチュエーションでもある。
が、もちろん冷えすぎると眠れない。
私にとっては何とも贅沢な、「背中が冷たくて寝られない」という場面に早変わりする。
基本的にはひんやりめな敷布団が大好きなので、こんなペラペラな床装備でキャンプ出来るのかもしれない。
厳冬期はこれに2mmのペラペラ銀マットを足せば十分だ。

雪が降り続く音がしている。
まさかシェルターが埋まるほどは降らないとは思うが、ちょっと気になる。
天辺のベンチレーションは被せツェルトで塞がれているのでここからの吹き込みは無いが、通気孔は入口上部ベンチレーションのみのため、凍結するとあの世往きになりかねない。
ちょっとファスナーを開けて、通気を確保している。
もし、60cm以上積もったら入口ごと埋まってしまうが、今の季節にそんなに積雪したら超大ニュースなので、現実には心配は無いだろう。
天気予報も、そこまで降るとは予報していなかった。

まだ夜の8時くらいだ。
なんだかちょっと風邪気味のような気もする。シュラフに潜り込む前に、ファーストエイドに常備のパブロンSを飲んでおいた。
普段からすると異常な早寝なので、夜中に1~2度は目を覚ます。
トイレに起きるのと、同時に外の様子の確認。降り積もってくる様子は無い。よかった。
しかし、やはりというか、この様子じゃ明日の登山は見込めないだろう。
まあいい。せっかく好きな山の中にいるのだ。のんびり過ごして、好きな時に帰ればいいのだ。

さすがに星は見えないが、静かな夜。
この季節には都会では絶対に見られない、雪景色。
そこここで鳴き交わしてる、ライチョウの声(うるさい)
いつものイヤホン音楽も忘れて、そのまま寝入っていまった。

何度かぼんやり眼をさまし、周囲が明るくなってきたのを感じ、そしてまた遠慮のない二度寝をして、起きた。


それほど寒くは感じない。
装備は私にとっては厳冬期装備なので、身構えて起きたのだが、肌で感じる寒さはそれほどでもなかった。
まだ10月だ。本格的な冬までにはまだ少しある。

トイレに起きてみると、もう周囲の山々は完全に冬山モード。現時点でも雪がちらつき、空はぶ厚い雨雲で覆われている。


これは、あまりぐずぐずしないで撤収したほうがいいかもしれない。

プラティパスの水は凍ってはいなかった。
本格的な冬であればシュラフカバーの内側に入れて凍らないようにするが、今回はシェルターの脇に放っておいた。
念のため、少しの水をマグカップに入れておき、もし凍ってしまったらマグを火に掛けお湯を作って、プラティパスの口の氷を解かせるようにしておく。
マグの水も凍ってはいなかった。

好きなだけだらけた時間を過ごし、あまりわかない食欲を自分と相談して、カップヌードルを食べる。
今回はリフィルをカップヌードルのノーマルとシーフード、どん兵衛の赤と緑を持ってきている。
選び放題。
相変わらずリフィルは入れる時に欠片が飛び散る。何かコツがあるのだろうか。


さて、ぼちぼち片付けて撤収だ。今回もヘルメットは使わなかった。食糧も半分も使わなかった。
シェルター内である程度ザックに入れ、ザックは入口近くに。
外に出る。雪がちらついている。雲はだいぶヤバい感じだ。
まずツェルトを外す。バタバタと雪を払い、4つに畳んでそこへザックを乗せる。
シェルターを片付ける。インナーフレームはあらかじめ天辺一か所を残して外しておいたので、すぐにポールを抜ける。


ポールを畳み、幕体を畳んでザックの中へ。ツェルトもザックの中へ。
気が付けばだいぶ雪の降りが多くなってきているので、レインパンツを履いた。
中華ジャケットはあまり頼りにならないが、もう少し頑張ってもらおう。

ザックを背負い、多少止んできた雪の中を歩き出す。足元がヤバそうなら軽アイゼンを装着するつもりだったが、石畳の歩道はしっかりグリップが得られるので、不要そうだ。


雷鳥沢から室堂へ向かう帰り道。心をへし折る長い登り階段。
雪がちらつく中を、ゆっくりと登って行く。
が、じきに暑くてたまらなくなり、中華ジャケットを脱いだ。幸い、雪はちらつく程度なので、なんとか大丈夫だろう。
やはり、このアウターは透湿性が弱い。蒸れて暑くて着ていられない。まるで自転車通勤の安いレインコートのようだ。(普段使っている)
レインパンツは履いたままにした。こちらは透湿性が無いのは分かっているが、なんだか面倒でそのままでいいやと思った。
先行者のグループがいる。彼らも帰り道なのだろう。ということは、やはり雷鳥は出てきそうもないな。

相当ゆっくり登っていたつもりだったが、先行者に追いついてしまう。これが標準的なペースなのだろうか。
やはり雷鳥は出てこない。
そうこうしているうちに室堂へ着いた。

建物に入り、木の古いベンチのすみっこをお借りする。
レインパンツを脱いだ・・・ところでびっくり仰天。まるで雨に濡れたように登山パンツが濡れていた。

これはもちろん雨ではなく、汗だ。透湿性が全く無いので、履いたまま行動するとこうなってしまう典型だ。
みなさん、レインパンツは良いものを買いましょう。

荷物整理は前回と違って全くといっていいほど濡れていない。徹底的に守ったのが功を奏した。簡単に手早く整理出来た。
髪の毛をタオルでがしがしと乾拭きして、ドライシャンプー。アロマの素敵な香りを漂わせるオヤジに変身する。しばらくすると髪の毛はさらさらになる、使い勝手のいい逸品。
とはいっても一晩洗ってない髪の毛なので、気にして帽子(レイン兼用のGORE-TEXのハット型)を被っておく。

食糧を消費してないのでザックが重いままだ。実質、水の分だけ軽くなった。
立山トンネルトロリーバス、ロープウェイ、ケーブルカー、関電トンネルトロリーバスを乗り継いで扇沢に帰って来た。

無理を聞いてくれた会社と家族におみやげを買って帰ろう。ザックにはあまり余裕が無いが、小さめの箱ふたつくらいならなんとか入る。
そして、連続敗退記念に、自分にも何か買おう。何がいいだろうか。
いつもこのヘンテコな似合いもしないハットを被っているので、フツーのキャップ帽がいいかな。
「山人」とデコに入っている気恥ずかしい帽子があったので、コレにしてみた。


まあ、ハットよりマシかもしれない。

また、ダメかあ。
二回トライして二回とも敗退。
剱岳に登れる日は果たして来るのだろうか。

2 件のコメント:

  1. お疲れ様です。家族と会社には感謝ですね。ところで、髪はサラサラにしたようですが、汗じみ登山パンツは、そのままで帰られたのでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. 登山パンツは速乾性で10分もすると濡れ跡は消えてしまいます。前回、かなりヤバいズブ濡れ状態でも、15~30分くらいできれいに濡れ跡は消えてました。
      レインパンツはしっかりした透湿性能じゃないとダメですねえ。
      (´・ω・`)

      削除