2016年10月20日木曜日

奥多摩小屋ソロキャンプ(登頂しません)

2016年10月7日 - 8日

奥多摩小屋まで登れば雲取山頂上まで1時間足らずだが、今回はハナから登らないつもりで行った。
キャンプがしたかったからだ。
相反するようだが、装備はウルトラライトにしてみた。
特に食糧とクッカーなど。
 昼:カップヌードル・リフィル
 夜:アルファ米、FD味噌汁、缶詰x1、魚肉ソーセージ
 朝:アルファ米+FD味噌汁の雑炊、魚肉ソーセージ
魚肉ソーセージに特別な愛があるわけではないが、常温で携行可能、という理由で選択することが多い。さすがに数回続けると飽きる。


クッカー類は、450mlチタンシングルマグ、焚のアルミ蓋、SPの和武器(箸)、のみ。
これに、トランギアのアルコールストーブに250mlの燃料アルコール。
幸か不幸かEPIの風防を忘れたので、その分も軽量化に寄与した形になった。


・・・のはずだったが、ザック重量は何故か8.3kg。あれ?思ったほど軽くない。
冬にアイゼンやダウン上下を持って雲取山に登った時(8.7kg)とそれほど変わらない。
水は1Lしか持っていない。
考えられるのは、レインコート上(340g)とトミカのピクニックシート(158g)、2本目のウイスキー(220g)、その他細かいものか。
ベースウェイトや消耗品など細かく管理すれば8kgは切ったと思うが、そこまではやらなかった。

有給休暇を取り平日を使って朝早いアプローチで行く。移動はバスや電車など公共交通機関のみ。
鴨沢バス停には07:34、雲取山登山口には08:05にスタートした。


例によってゆっくりと登っていったが、奥多摩小屋に着いたのは11:39。なんだかずいぶん遅かった。
いや、それどころではない。なんと、鴨沢バス停から4時間もかかっている。冬には3時間半でここまで来ているのに、なにがそんなに違ったのだろうか。
確かに同じようなペースだと思ったのだが、自分で驚くほどのタイム差になっていた。


到着してみると、テントは1張のみ。平日だし、明日は雨らしいし、あまり来る人はいないのだろう。
どこに張ろうかといつもの林間側をうろうろしてみたが、なんとなくどこも傾斜地っぽく感じてしまい、気に入らない。いつもはあまり気にしないのに。
そこで、たまにはと土手側のスペースを見てみたら、なんだか平たい理想的な場所に見えて、そちら側にしてみた。
いつものトミカのピクニックシートを出してザックを置き、奥多摩小屋にテント泊の料金(500円)を支払いに行く。いつもの事務的なオッサンではなく、今日はやけにほがらかな違うオッサンだった。

今回はキャンプが目的なので、フレームのある自立型のシェルター。
ツェルトや野天ばかりだと、これでも最高の贅沢テントに感じる。


水を汲みに行く。もーの凄い傾斜階段を下って約5分。
2Lと0.5Lのプラティパスをいっぱいにした。

キャンプ地に戻り、シェルター内を整理する。
マットはぺらぺらのDUOMATのみ。ある程度の平地ならこれで十分。
装備が軽量簡易なので、モノの整頓も簡単。こんなところもウルトラライトのいいところ。

さっそくお昼ごはんにしよう。今日はカップヌードル。
・・・と、ここでEPIのウインドシールド(風防)を忘れたことに気が付いた。マジか・・・
火器は微風にも弱いアルコールストーブのみ。さて、どうするか。
ここで気が付いた。このキャンプスペースは大きめの石がごろごろ多い。なんでこんな大きな石があるのか。登山のテン場なので、焚火は厳禁。
なるほど、そうか、これは風除けのかまどなのか。
先人が残してくれた大きな石を組み合わせ、風除けを作った。ありがたい。


アルコールストーブで湯を沸かす。器は450mlチタンシングルマグ。今日はコレしかない。
ちょっとひと手間かけてみた。
いつもはリフィルの規定量330mlの湯だが、微妙に少なかったりする。ましてや今日は湯量を計れる器が無い。そこで、いったん450mlのマグで湯を沸かし、それを500mlのプラティパスに戻す。
そしてマグにリフィルをあけ、その上からぎりぎりに湯を入れた。
これでスープの量もちょうどよいカップヌードルが出来た。


ガスが濃くなってきている1830mの景色を眺めながら、スキットルのバーボンを飲み、カップヌードルを食べた。

思ったより寒い。
前回までは真夏の暑い野宿で、そのイメージが強かったから、余計に寒く感じた。
長雨と台風、それに出張に追いまくられて、しばらくアウトドア遊びが出来なかった。
実は今回は、「矢も盾もたまらず」飛び出してきたキャンプでもある。
いつもの近場の峠はかなり連続で行ってるし、計画してみた剱岳は登頂された方のブログなどを拝見した際、人人人また人の駅、ロープウェイの待合所、登山道、山頂、で、すっかり気を削がれてしまった。
もう少し近い大菩薩嶺でもいいか、と思ったが、ここもやはり「電車駅からバス停に登山者が一斉にダッシュ」と紹介されていて、めげてしまった。
今時登山事情はどこも同じ。さほど抵抗を感じない人ならなんてことない事が、そういうのに弱い私は、どうしてもそちらへ気持ちを向けることがやり難い。
まあ習性なので仕方がない、と諦める。
ここ奥多摩も十分人気の山域で人も凄いのだが、今日は平日、まして天気も悪く、明日は雨。
ワタシ的にはかなり静かなアウトドアを過ごせたと思う。


登山靴の足音と同時に熊除け鈴の音が通り過ぎていく。
夕方になるまでうとうとしたりスマホで映画を見たり(ここはAUは完全に圏外)、すっかりだらけた時間を過ごす。まあ、それが目的で来たわけだが。
結局、テントは私も含めて4張だけだった。

日も暮れてきて、ガスはますます濃くなってくる。時折、小雨が混じる。
アルコールストーブなのでシェルター内では使えない。入口にかまどを寄せて湯を沸かす。


夕飯は簡単。アルファ米(パッケージのまま)、牛肉の大和煮の小さな缶詰、フリーズドライの味噌汁、それに魚肉ソーセージ。
登山で体力を激しく消耗すると、私は何故かそれほど空腹を感じなくなる。これくらいでちょうどよかったりする。
今回、使用する燃料量(アルコール)を抑えたい意味もあって、各食事は極力湯を沸かすのみのメニューに絞った。
さすがにアルファ米のパッケージのままご飯を食べるのは残念な気持ちになるが、軽量化が主眼ならばこれもアリだろう。
アルファ米をパッケージのまま蒸らしている時間にもう一度湯を沸かし、缶詰を湯に入れて温める。


うん、やはり夕飯の量としてはこれくらいでちょうどいい感じだった。
さすがにいつも普通の米を炊いて食べているので、アルファ米はいまいちであったが、湯を入れて15分で手早く簡単に食べられるという魅力がある。
ただ、湯を沸かすだけ、と、米をシェラカップで炊くことは、アルコール燃料の消費は大差無いかもしれない、とも思えた。時間的に大して違わないのだ。
米+FD味噌汁、&何かおかず、であれば、アルファ米のメリットは時間短縮と簡易さ、なのかもしれない。

今日はキャンプ地でぐうたら酒飲んで過ごすつもりなので、スキットルの他にペット小瓶でバーボンを持ってきた。
強い酒をぐいぐい飲む。好きなだけ飲む。
もっとも、そんなに大して酔っぱらわない。不思議とアルコール度数4%の缶チューハイのほうが酔ったりする。炭酸のせいだろうか。
行動食のミックスナッツとチョコレートと甘栗むいちゃいましたをつまみながら、スマホで映画を見て過ごす。
外は濃いガス。1830mの山の中、何の音も無い。林間に張らなかったため、シェルターの側面を水滴が打つ音も無い。
非常に静かだ。


山小屋のトイレに行く。ガスに巻かれて登山道もはっきりしない。ヘッドライトを水平に向けても白飛びしていて何も見えない。
1~2m程度の足元を確認しながら、トイレに向かう。たまに張り出した木の枝の葉が風に煽られて水滴を飛ばす。レインコートを着てきておいてよかった。

明日はさほど早く起きるつもりはない。どのみち下山するだけなので、ゆっくり寝ているつもりだ。
シュラフに潜り込んでみたら、背にかなりの冷気を感じた。思ったよりずっと地面が冷たい。
マットはOMM DUOMATのみ。比較的厚手のトミカ・ピクニックシートを敷いているが、これを省いてきたらヤバかったかもしれない。このピクニックシートは冷たい地面対策になかりの効果を発揮する。
とはいえ、ちょっと背が冷たくて、寝るのにキツい。
しばらく考えたあと、エマージェンシーでいつもドイターの小バッグに入れっぱなしの「レスキューシート」を使ってみることにした。NASAのナントカカントカで熱反射率100%近いという、ぺらぺらの銀フィルム。
購入したのはもう20年以上前だろうか。ずっと歴代非常用バッグの底に眠っていたものだ。
腐ったりするものではないので大丈夫だろうと思ったら、コレが互いに張り付いてしまっていて、慎重に剥がしはしたものの、かなり大きく裂けてしまった。
そして、意外に大きなフィルムだった。向こう側がなかりはっきり透けるほど薄い。
シュラフの下に敷いてみる。


そしてシュラフに潜り込んでみると、今度はかなりはっきりと背中の冷気が緩和されているようだった。
おおお、意外に凄い効果あるんだな。これは使える。
もちろん、べたっと地面に密着していると冷気が伝わってきてしまうだろうが、DUOMATや何かでちょっとでも空間を設けてやると、体温を反射して冷たい感じはかなり緩和される。
いいじゃん、これ。
ただし、よく言われる「一度広げたら二度と元通りに畳めない」のは確かにそのとおりで、再利用は無理だった。どんなにきれいに畳もうとしても、2m四方くらいの極薄の銀シートなんかきれいに畳むのは無理だ。
おかげで問題無くあたたかく眠れたが、帰りはザックの底で緩衝材となって役目を終えた。

とっても気に入ったアイテムだが、間違いなく使い捨てなので、やはりエマージェンシー的な使い方になるだろう。
もっとも、私はファーストエイドやエマージェンシーの小物類も、ザックの肥しで終始させる気は毛頭無く、いつも「有用な予備役」として積極利用できないかと考えている。
いざ本当に困ったときに使い切って無くなっているのは困るが、適度に消費・消耗してくれれば、使い慣れることにもなるし、使用期限切れで毎回何もせずに交換を繰り返すよりはずっといい。

朝、シェルターの入口を開けたら、濃いガスと小雨。
今朝も静かな山の中である。


アルコールストーブをかまどにセットする。
朝ごはんは、ちょっと試してみたいものがあった。
それは、アルファ米で作る、フリーズドライ味噌汁の雑炊。
 1.アルファ米をシングルマグにあける。
 2.その上にFD味噌汁の元を乗せる。
 3.水を適量(どのくらいだろう?)入れ、火にかける。
 4.沸騰しないくらいで火から降ろし、よく混ぜて食べる。
というものだそうだ。
確かに、これなら消費するアルコール燃料も最小で済む。
問題は、おいしいかどうか、だ。


水の量に自信がなかった。ぶわっ、とふくらんで溢れたりしないだろうか?そう思い、若干余裕を残して水を入れ、火にかけた。

沸騰し切る前に火から降ろす。なるほど、アルコールは大して消費していない。
おそるおそる蓋を開けてみると・・・・うーん、正直言ってあまり食欲をそそる見た目ではない。
気を取り直して混ぜてみる。アルファ米は水分を含んでふくらんではいるが、量としては大して大きく変化しているわけではなく、混ぜた感触もちょっと固め。
もっと水を多くしてもいいようだ。
と、いい匂いがしてきた。FD味噌汁は間違いのなさそうなトン汁。
なるほど、これは十分美味そうな雑炊になる。もっと汁気を多くして、もう一品なにかがあれば十分贅沢な山メシになりそうだ。
マグカップのため箸では食べ辛かったが、十分美味しかった。カレーやユッケジャンクッパなど、バリエーションも豊富とのこと。
なかなか使えるいい方法だ。

さて、今日は雨。カッパを着て下山する。


ザックはカバー無し、その代り、中身は防水スタッフバッグでがっちり濡れから守る。
ザックカバーをしても、どのみちショルダーベルトは剥き出しで、そこから雨が伝わり背面や底は濡れてぐっしょりになるのだから、ザック表面だけ雨から守っても私はあまり意味を感じない。シュラフなどを防水バッグに入れ、シェルターから這い出してシェルターを畳む。収納袋には入れない。持ってきていない。そのままシェルターと、最後にトミカのピクニックシート畳んでザックの背面ポケットに収める。これならシェルターやシートが濡れていても汚れていれも気にしなくて済むのだ。

カッパを着るため、機能Tシャツのみ。カッパは自転車通勤に使っている、ホームセンターで買った上下セット3980円の上のみ。下はゴアテックスのレインパンツ。上も欲しいよう・・・
安いカッパだが、ビニール包装の内紙に「透湿防水素材!」とあったが、ホントか?
メッシュの裏地が快適だ。

歩き始めて、じきに暑くなってくる。登りよりははるかにマシだが、暑いことにはかわりない。
面倒そうだと帰りもプラティパスのハイドレーションを準備してきた。中身は粉末のアクエリアス。どうやら正解だったようで、ちょこ飲みしながらペースを保って歩けるので非常に楽だった。


登りも下りも、足の指は全てテーピング。これをしないと指が大変なことになる。
トレッキングポールは使わない。膝をやられた場合の最後の保険だから登山には必ず装備してくるが、出来るだけ使わずに往復するように心掛けている。
傾斜のある下りでは、ふくらはぎや腿の筋肉を使って、自分でも驚くほどゆっくり降りる。
鴨沢ルートは長い。往復で20kmほどある。

久しぶりの雨の感触を楽しんで、ゆっくりゆっくり下っていく。
朝食が胃の中から通り過ぎてしばらく、チョコレートやミックスナッツや甘栗を食べながら下って行く。
薄いアクエリアスも喉を通りやすい。
プラティパスのハイドレーションはやはり使い難いが、本体の使い勝手からどうしても外せない。2Lはだいぶくたびれてきたので、そろそろ買い替え時かもしれない。
それでも、私はカラになったプラティパスの容器は丸めたり畳んだりは決してしない。必ず平たいままザックの背中部分に入れて帰る。折れ部位の劣化などを避けたいからそうしている。

登山口になかり近づいた頃、小さな神様の祠がある。100円を奉じてご挨拶。
往きにも必ずご挨拶をしている。
もちろん現世利益を願うなんてことはしない。往きは「よろしくお願いします」、帰りは「ありがとうございました」の挨拶である。

途中、カッパを脱いで傘にした。トレッキング・アンブレラ、ではないが、もういくらもないし、雨はほとんど止んだし、何よりカッパを着ていると暑い。
行き帰りの公共交通機関を使う場合も、カッパでびしょ濡れはあまりよろしくない。カッパ装備区間は登山行程のみに絞っている。

そして、登山口に戻ってきた。
膝は無事だった。明日は物凄い筋肉痛だろう。

丹波山村営駐車場は、今日は車は少ない。さすがに雨であまり登る人はいないようだ。
ここからまだ15分ほど、山道の下りがある。

そして、鴨沢バス停に下りた。
先客はおじさんとおばさん。私よりかなり年上の先輩。
バスまではさほど時間はなく、なんだかいいタイミングで下山したようだった。

ほどなく到着したバスに乗る。
先ほどのおじさん、化繊シャツがかなり臭う。うーん、キツい・・・
私は気にして必ず防臭素材(今日はモンベルのジオライン・シャツ)にしている。やっぱり、ちょっとマズいっすよ。
バスは意外に乗客が多かった。どこから乗ってきたのだろうか。
土日などはこの鴨沢バス停はごったがえすほど登山客が並ぶが、さすがに今日は私を含めて3人だけ。乗ってきた皆さんは上のルートから下山されたのだろうか。

奥多摩駅に着いて、ちょっとトイレに寄り、中央線に乗る。これも今日はガラガラ。
夕方になるとホリデー快速の中央線直通があるが、この時間は青梅乗り換えしかない。残念。
おとなしく青梅で乗り換え、立川で乗り換え、八王子に帰る。八王子駅からはバス。

家について、荷をほどく。ウルトラライト装備だから、荷物量も大してないから、ここでも楽だ。
雨に濡れたザックも丸洗い。

さて、家に帰って、今回の山行を振り返ってみた。
・10月に入ってからはマットがOMM DUOMATだけでは1830mの奥多摩小屋テント場では断熱に問題あり、と分かった。いくらなんでもぺらぺら過ぎた。
・アルコールストーブは三方を囲んでかまどを作ってやれば、今回それなりに風が吹いていたが湯は普通に沸く、と分かった。小雨でも問題なかった。
・クッカーはマグカップ1個でも問題無いが、徹底した装備軽減以外はシェラカップくらいあってもいいのでは、とも思った。
・カトラリーは箸だけあれば十分だった。まあ、カレーのときはスプーンがあってもいいだろう。
・行動中のハイドレーション吸水では、やはりアクエリアスなど何かしら味のする飲料のほうが飲みやすい。水だけだと、ちょっと喉にひっかかる。
・行動食はちょうどいい量だったが、箱ごとのチョコレートはいくらなんでも邪魔過ぎた。
・やはりドームシェルターは快適。これ以上の軽量化を考えるなら、ツェルトかタープ、あるいはタープ付きハンモックだろう。

膝は守り切ったが、足の筋肉痛がハンパない。

0 件のコメント:

コメントを投稿