2020年3月13日金曜日

奥多摩 鷹ノ巣山 六つ石山 ツェルト泊 その1

2020年2月21日 ~ 22日

1日目。
Youtube動画

昨年(2019年)の剣岳登山から全く行ってない。理由は様々あったが、ともかくもどこかの山に登りたかった。
自分が行けるところといえば・・・現時点では奥多摩くらいしかない。
ならば、なるべく人の少ない静かな登山にしたかったので、水根から入る鷹ノ巣山を選んだ。
有給休暇を取って、平日に行く。

スタートは奥多摩湖。ここならトイレがある。
まずは湖畔のベンチでまったりと準備をして、AM 7時41分に出発。
いつもは道路を渡って階段を下りていくのだが、工事中でがっちり封鎖されていた。
ちょっとうろうろしたが、諦めて車道を歩く。どうせ交通量も無きに等しいし、距離もごく僅かだ。
山道入り口のちょっと手前でYAMAPをスタートする。ところが止め方が分からず(笑)、なんとスマホを再起動しても記録し続けるという超優秀な記録アプリで、大変役に立ってくれた。Androidのバージョンが低い先代スマホではあっけなく停止して記録が途切れていたりしたが、だいぶ動作が違っている。逆にありがたい。
止め方は、結局全ての登山行程を終了し舗装道に出た後、ようやく発見して止めた。大儀であったな。

さて、へんちくりん小屋はなくなっていた。が、陶芸などの作品は継続して販売しているらしかった。

この時(ちょっと手前?)、ガラス戸にごく短時間だが自分の姿が写り込んだ。これは、編集後、動画をコーディングした後に気が付いた。

お・・・・・失敗(´・ω・`)

どうするかと思ったが、面倒くさいのでそのままにした。
元々私が動画中の自分の顔をマスキングするのは、プライベートを守る意味ももちろんあるが、それよりも
「見たくもないおっさんの顔を視聴者の方に晒しちゃ申し訳ない」
という意味合いが強いからだ。なんとなれば、自分がそうだからだ。申し訳ないが、Youtubeでおっさんが「はいどうもこんにちはー」から始まる動画は苦手だ。思わずストップボタンにマウスカーソルを合わせてしまう。
今回は大して鮮明さもないし、さほど目立たない程度なので、放っておくことにした。

水根の山道までの急な登りを行く。ヒマラヤに着ていったヤッケ(ドイツ語でJacke、英語でアノラックやジャケット)を着たまま登るが、いつもは暑くて着ていられないので途中で脱ぐが、今回はさほどでもない。
外気温はそれほど寒くは感じないのだが。年を取ったせいなのだろうか。
発汗量が多ければ脱がざるを得ないが、そうでもなければ冷たい外気に晒されて体は冷えていくので、上手くバランスを取れば着たまま行動できる。今回はそのようだった。ラッキー。
水根の山道に出る。相変わらず細い。そして、水根の山道は高低差が非常に緩やかな沢沿いの道で、極楽浄土に続く道のような、非常に気持ちのいい道だ。

水根は好き(*´ω`*)

・・・・もちろん、「高度を稼げない」ということは、その後に地獄の登りが待っているという意味でもある。水根ルートは奥多摩3大急登のひとつなのだ。
※諸説あって、普通は「鷹ノ巣山の稲村岩尾根」「六ツ石山の水根ルート」「本仁田山の大休場尾根」私が登るコースは六つ石山直登ではなく石尾根縦走路に出るルートなので、少し外れている。

しばらくはずっと沢の音と共に歩く。実は私は川・沢・渓が若干苦手だ。もちろん程好い渓の水音は癒し以外の何物でもないが、川のほとり、渓流沿いなどのキャンプは水音がストレスになってしまう。
私は高度のある(2000m以上)山中の、無音のキャンプが好きだ。

水根は昨年の台風19号で荒れている箇所が多く、登山道が途切れている場所もいくつかあった。

ルートを外れやすい

何度も通っている道なのでまだよかったが、初見では荒れた渓の先に続きの山道を見つけられない場合があるかもしれない。
私も林間に入った後、曲がるべきところを直進してしまい、「おかしい、見覚えが無い」と気が付き、YAMAPで確認してルートを外れていることが分かり、引き返したことが一度発生した。

YAMAPで現在位置確認

YAMAPは地図をダウンロードしておけばGPSのみで現在地が確認出来るので便利だ。
しかし、電子機器類は故障やその他何らかの要因で「使えない」場合も考えられる。私は必ず紙地図とSILVAのコンパスを携行している。大した読図能力はないが、何も無いよりはマシだ。

さて、しばらくして美しい渓流沿いの緩やかな山道は終わってしまう。そこから林間に踏み込み、九十九折れの急登が始まる。

夏季ならば涼しい林間の登りだが、真冬の今だと鬱蒼とした感じになっている。黙々と登る。もちろん、ここからは中綿のヤッケは着ていられない。脱いでザックの天辺に括り付けておく。
ミックスナッツとチョコレートでエネルギー補給。ハンガーノックを防ぐ。
黙々と、黙々と登る。

AM 11時23分、ようやく石尾根縦走路に出る。暗い林間から無効に開けた明るい尾根に出る解放感が格別だ。苦労が報われた気持ちになる。

ここにたどり着くとホッとする

ちょっとザックを下す。
いつもは道標から少し離れたところで休憩するが、今日は水根入り口付近でWoodJobなおじさん達に会って以来、全く人を見ていない。
珍しく道標のところでちょっとだけの休憩を取った。

すると、たちまち体が冷えてくる。この日の気温は0~2度。立ち止まっていると寒くなってくる。

黄色の分厚いヤッケを着て、帽子とグローブをして再スタート。

”濡れ”が無ければ十分

今度は若干の登りで暑くなってくる。とはいっても、帽子とグローブを脱ぐ程度で調節は出来た。
脱いだ帽子はヤッケの右ポケット、グローブは左ポケット。そして、必ずファスナーを閉める。面倒臭いけど、アイテムを無くさないための必須動作だ。

尾根に出て景色が明るくなった。ちょっと上ると、やや穏やかな斜度になった。
と、奇妙な木を見つけた。バネのように1回転だけくるっと曲がって円になっている。

1周してる

風のせいだろうか。
そのまましばらく陽の指す林間の尾根を歩く。やがて、鷹ノ巣山避難小屋に向かう巻き道と、頂上へ向かう石尾根縦走路の分岐に出た。

鷹ノ巣山 登頂路と巻き道の分岐

ふと、どちらに行こうか逡巡した。
今日はこのまま巻き道でラクをしてとっとと酒を飲むか?もうちょっと頑張って登頂して、明日はラクをするか?
・・・ここまでの急登でかなり疲れているし、冬はザックが重い。ラクをしたい。しかし、今日登頂しなければ、明日登頂が待っていることになる。私は苦労や面倒などはなるべく先に片付けたい性分だ。
よし、登ろう。ここまで来たんだ。あと僅かじゃないか。
(しかし、翌日にまた登る気になるとはこの時は思わなかった)

まだしばらくは斜度の緩い、開けた明るい石尾根縦走路を歩く。北側斜面には雪が残り、縦走路にもそこここに雪がある。
アイゼンを履くほどではない。一応、軽アイゼン(8本爪)は持ってきている。

ちょっとだけ雪

時折り富士山が遠くに見える。気持ちのいい尾根歩きだ。

いやー、最高(*´ω`*)

が、鷹ノ巣山に登頂する最後の登りに差し掛かると斜度が急になり、最後の試練となった。
少しづつ少しづつ、汗をかきすぎないように登る。30秒も立ち止まれば体の熱は引く。
汗をかき過ぎると体温が急激に奪われ、低体温症のリスクが高まる。実際、それによる事故っも多い。

じりじりと登り、12時33分、鷹ノ巣山に登頂した。標高1,736m。

登頂。何回目だろう?

誰もいない。そして誰も来なかった。
風の音だけがしている。

富士山が見える

結局、ここまでは水根の入り口で会ったWoodJobなおじさん達のみで、完全に一人きりの登山となった。
私にとっては理想的だった。

しばらくぼーっと頂上からの景色を眺めて、避難小屋を目指し下る。
下り口はやや細い道で、ちょっと注意する。
登りで足の筋肉も相当消費しているので、スリップなどで大事故に繋がりかねない。慎重に歩を進める。
ほぼ一直線の、すらっとした爽快な下り道。

カッコいい斜面だけど結構しんどい

少しづつ下り、13時1分に鷹ノ巣山避難小屋に到着した。

あれ・・・・おんぼろベンチとテーブルが無くなってる。撤去されたらしい。
掘り返したのだろうか、地面がでこぼこになっている。
ちょっと分かり難くなっていたが、いつもの場所にツェルトを張ることにした。

いつもテント(いやテントじゃなくてシェルターか)やツェルトを張る様子を三脚で動画撮影しているが、とにかく顔のマスキング処理が面倒臭い。
編集ソフトのモーション・トラッキングを使用しても万全に追従してくれるわけではなかったりするので、結局1コマづつ直したりする手間が発生する。多大な時間を食うのだ。
そこで、「ならばあらかじめ隠した状態で撮影すれば」と思い、バラクラバとスキーゴーグルを持ってきた。

これじゃ〇ロリストじゃん(´・ω・`)

はっきりいってパッキングには甚だ邪魔くさいが、まあ試しにやってみるのもよかろう。
後で見返してみると、当たり前だが何も編集することが無い。非常にラクである。
ただし、見るからに〇ロリストっぽいので、普通に登山者で賑わうテント場では使用が躊躇われる。
夏は暑くてダメだろう。
まあ趣向としては面白いが、使いどころは限られると思われた。

できた

ツェルトを張り、まずペラペラの2mmの銀マットを入れるR値がウンヌンでほぼ意味がないとは言われているが、これがあると無いとでは大違い(だと思う)
メインはリッジレスト SO-Liteなのだが、これの下に敷くことによって地面からの冷気がだいぶ違う。
それにSO-Liteは120cmなので、足ははみ出す。ザックなどを敷いてはいるが、その部分もこのペラペラの銀マットが補ってくれる。
この160cmで2mmの銀マットは重量わずか74g。冬にはなかなか役に立つアイテムだと思う。

2mmのペラペラ銀マット

さて、ツェルトにザックを入れて、水汲みに行く。2Lと1Lのプラティパスを持っていく。
私はプラティパスを丸めたり折ったりしていない。なんとなく、破れて漏れる恐怖があるので、必ず空気を抜いた状態で平たくしてザックの背側に平たいまま押し込んでいる。

水場まではちょっと荒れた坂を下って数分。ここは3年ほど前に熊さんが水を飲んでいた情報があるので、慎重に近づく。
水はちょろちょろだが出ていた。3Lを汲むのにすごい時間がかかったが、なんとか満タンにした。

すっごいちょろちょろ

これで翌日に再度水汲みに来なくてもいいだろう。汲んでいる最中も、熊さんの近づく足音がしないか、耳をそばだてる。

ツェルトに戻ってきた。14時33分。遅くなったがお昼にしよう。

実は今回の食事メニューはなかなかにヒドイものがある。
今日の昼、夜、明日の朝、昼、の計4食分だが、全てカレー系にしてみた。
特に理由はないのだが、私の偏見のひとつに「登山でカレーは正義」というのがあるので、美味しいもの、そうでもないものを見極めておきたい、という気持ちがあった。
あまり食欲の無い時でも、とりあえずカレーなら少しは食べる気になる。登山でへばった時の貴重なヘルパーなのだ。

まず、昼はカレーうどん。いつものヤツだ。

マルちゃんのカレーうどん

これは乾麺で安定しておいしい。ただそのままだと具の何もない素のカレーうどんになってしまう。
そこで、スーパーで「鶏そばの具」というFD(フリーズドライ)を見つけた。
おおお、これは良い。FDで軽いし、他にも使えそうだ。
さっそく入れてみる。他に缶詰の「牛肉の大和煮」もトッピングにしようと思ったが、ちょっとくどそうな感じがしたので保留にした。

いただきます

・・・うん、若干しょうゆ味が濃いかな。しかし味をブッ壊すほどではないので、まあ許容範囲だろう。
グルメな人だとちょっと濃すぎると言われるかもしれない。私は他の具材を考えるより軽いFDを優先したい気持ちもあるので、大満足。

さて、アーリータイムスでいい気持ちになってるし、ちょっと昼寝しようか。
と、ここでちゃんとストレッチをしなかったことが帰宅後にひびき、猛烈な筋肉痛になってしまった。
剣岳3泊4日では回避出来たのに、無精者の自業自得である。

シュラフに潜り込む。ツェルト内の気温は1度だった。が、それほど寒くは感じない。
とはいっても、風が前から後ろに吹き抜けている。うーむ。
まあ、いいか・・・・

目が覚めたら18時半だった。昼が遅かったから、夕飯にはまだちょっと早い。
コーヒーを飲もうか。
風が強くなっている。
ツェルトはサイドリフトのない極薄生地なので、少し強めに吹かれると室内容積は半分になってしまう。

ザックの中身や撮影機材などをうだうだと整理していたら、あっという間に20時くらいになっていた。
夕飯にしよう。

夕飯はカレーライス。ご飯はアルファ米。熱湯に15分で出来るので超便利。
カレーはFDの「畑のカレー」というもの。前にFDカレーを試したが、具もほとんど無くいまいちだった。今度はどうか。

スポーツ用品店のビクトリアで買った畑のカレー

ホントはサラダをと思っていたが、なんと冷蔵庫大整理の直後で葉物野菜がすっからかんだった。おまけに準備だけは事前にしておいたツナフレークパックはバラすのを忘れて3パックごと持ってきていたし、パックのコーンも持ってきたし、ドレッシングも処分済で代わりのマヨネーズはあるのだが、それら一式は全て使わず仕舞いで持って帰った。余計な重量となり果てた。

昼にトッピングから外した牛肉の大和煮も温めて食べる。
野菜が無いのは寂しいが、まあ仕方がない。
いただきます。
・・・お、これは美味しい。このFDカレーは当たりだ。具もごろごろで食べ手がある。
第二のカレーも違和感なく平らげた。とても美味しかった。バーボンもずいぶん進んだ。

おお、美味しいじゃん!

食後のまったりタイムである。行動食のミックスナッツとビターのチョコレートがおつまみ。
チョコレートは溶けない季節限定のぜいたく品。今だけのアイテムだ。
相変わらず風が強い。まあ支柱が倒れたら倒れたで、ツェルト生地にくるまって寝るだけだ。あまり気にしていない。
20時30分、就寝。

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