2019年10月19日土曜日

3_剱岳 雷鳥沢キャンプ場 ~ 剱御前小舎 ~ 剱沢キャンプ場

2019年8月6日~7日

※動画の時刻表示と20~30分ほどずれがあるかもしれません。
 行動中のメモと、動画ファイル保存時刻で差異がありました。

荷物を片付ける傍らで、ちょっとした手間をかけた。昨日の雨でどろどろになったシェルター底面とトミカピクニックシートをプラティパスの水を掛けて洗った。幸い、水を掛けるだけで泥はきれいに流れ落ちてくれた。

ドロドロだったトミカのピクニックシート


不要な手間となってしまったのは、夜になってもし降られたらと心配してシェルターにツェルトを被せていたおかげで、ツェルトも乾かさなくてはならなかったことだろう。

ツェルトはいらなかったかも (´・ω・`)

当のシェルターがあれだけ雨を防いでくれるのであれば、上にフライとして被せるツェルトは無用と思える。
この山行中はどうもフライ効果が頭から離れなくて、剱沢でもツェルトを被せていた。

少々の時間を費やしてシェルターとツェルトを乾かし、ザックを整えて出発。
AM 7時46分、ここからは自分にとって未知の領域になる。

未知の領域へ出発!

少々ラクをしようとスマホのYAMAPにGPSナビを任せて歩き出す。
雷鳥沢からは幾本もの分岐が出来ていて、初めての自分には少々分かり難い。
YAMAPが指し示す、自分の向いている方向を見て歩き出す。
渓流を渡る。どっちだ?こっち?
右方向に向かう。・・・・なかなか険しい道だな。岩がごろごろだ。でもルートである「○」印のペンキは岩にあるし、合ってるだろう。
・・・・いや、待てよ?なんか指し示す方向が曖昧な気がするな?
ホントにこっちか?
いや、おかしい。なんか剱沢方面から外れていってるぞ?
一度戻ろう。
ここからやり直し・・・あれ?やっぱりコッチを指している?

ゼッタイこっちじゃない・・・

などと15分ほどウロウロし続け、一度雷鳥沢キャンプ場まで戻ったりもしたが、結局GPSナビは正確ではない、と結論付けて山と高原地図を引っ張り出し、コンパスは端折ってスントベクターの腕時計を使い、
「やっぱりコッチ方向じゃないか」
と渓流を渡って左に向かった。案の定、直に”剱岳⇒”の小さな木片の案内があった。

さっそく登りになり始める。なぜか、年配の方々が結構な人数で降りていらっしゃる。ご来光でも見に行っていらっしゃったのだろうか。
息を切らして登っていく。右ショルダーベルトに着けたドリンクホルダーは大正解で、重さはほとんど感じない。そこからするっとペットボトルを取出し、遠慮なく水を飲む。北アルプスの天然水。
どのくらい飲んでいるのかも一目瞭然で分かる。いいことだらけだ。
これからはこれでいこう。
難点をいえばやはりちょっと邪魔だが、若干の煩わしさよりはしっかりした水分補給のほうがはるかに大事だ。

どんどん傾斜がきつくなっていく。それとともに標高を稼ぎ、景色もどんどん雄大になっていく。
大きな雪渓があちこち見える。こんな真夏でも結構融けないで残っているものなんだなあ。

いい加減しんどい急坂が緩んでくれないかと思うが、まだまだ半分くらいしか来ていない。
しかも傾斜はますますキツくなる。
雄大な風景に頭を真っ白にして登っていく。
老若男女の登山者が次々と降りてくる。不思議と先行者も後から来る人も見ない。結局、剱御前小舎まで、ほんの2~3名しか同じ方向へ向かう登山者はいなかった。

AM 9時53分、剱御前小舎に到着。
大休止、とはいっても、ザックを下す程度だが。トイレをお借りする。チップ制なので100円を入れさせていただいた。
一息ついていると、なにやら山小屋のスタッフさんが慌ただしい。「離れてくださーい!」と。なんだなんだ、と思っていたら、ヘリでの荷揚げがやってきた。
慌ててトイレの軒下に避けた。

剱御前小舎。ヘリの荷揚げ

着陸はせず(スペースが無い)、荷を吊り下げて降下、切り離して飛び去っていった。
そういえば結構な数のヘリが飛び回っている。最盛期なので、忙しそうだ。

ペットボトルはほぼ飲みきった。ザックの中からプラティパスを取出し、ペットボトルへ補充。これからは下りなのでそれほど消費はしないだろうが、少しでも多く飲んでおきたい。
標高は2500mほどなので、普段の生活より水分補給を体が要している。なるべく多く飲んでおきたい。

塩羊羹やミックスナッツを食べ、森永ミルクキャラメルも口に放り込んで歩き出す。ここから剱沢キャンプ場までは下り。
直に剱岳が見えてくる。・・・・すげえ山だな。登り口がまるで分らない。全面崖に見える。

剱岳が見えてきた

標高2999m。明日、あれに挑戦するのだ。

AM 10時38分
順調に下り続け、剱沢キャンプ場に到着。うーむ、帰りはこれを登るのか・・・まあそれほど急でもないかな。
キャンプ場は、結構なテントが張られていた。

テントで賑わう剱沢キャンプ場

とりあえず管理棟に行き、二泊の料金を払う。一泊は500円。

さて、どこに張ろうかとうろうろしたが、テキトーなスペースを見つけてザックを下す。
やはり若干の傾斜。水が溜まらなくていいだろう。

さっさとシェルターを張る。

mont-bell ULドームシェルター1型を設営

暑い。空はピーカンで遮るものが何も無い。真夏の直射日光が直撃だ。
もちろんシェルター内にはいられない。
ツェルトでシェルター横にタープもどきを張ってみたが、生地が薄くて熱線が透過してくるみたいにちっとも涼しくなかった。意味がないので外して畳んで仕舞った。

シェルターに潜り込み、入口を全開にして頭を入口から僅かに出してみる。
お、これは・・・これは具合がいい。ベンチレーションの向きに沿っているので、風が少々感じられて涼しい。
日光もぎりぎり遮られている。

ぎりぎりで得られた僅かな涼

中に入ってあぐらをかいてしまうと熱気が滞留しているようで暑くてダメだが、寝転がって頭を入口ぎりぎりに出すと、意外に涼しかった。
難点は、傾斜が頭下がりな点。しかし、こればかりは降雨時の池状態を避けるために仕方がない。

昼食の時間だが、食欲がない。もちろんエネルギー摂取は大事だが、どうにも食べる気がしない。

私は山に入ると妙に食が細くなるが、今回はちょっと他にも原因があった。
それは、食糧計画の失敗だ。
最も無難に食べられるものは、炊いたご飯、おかず(サバの味噌煮などの缶詰)、それに味噌汁。これは手間がかかるので、夕飯のメニューにしている。
朝は手早く食べてなるべく時間を消費したくないので、アルファ米雑炊にした。
昼は登山中であればカロリーメイト+羊羹やミックスナッツなど。停滞中、つまり今この時間に食べる昼食は、変化を付けてカレーのフリーズドライにしてみた。
・・・しかし、どうも食べる気がしない。美味しく思えず、ダメだった。
ただ、全く食欲が無いというわけでも無いらしく、漂ってくるカップヌードルカレーの匂いがやけに美味しそうに思えた。
これらのメニューは、かなり極限まで軽量化を考え、贅沢を捨てて飽きないぎりぎりで組み立てたつもりだった。
しかし、飽きてダメだったようだ。
レトルトカレーやカップ麺であれば、ちゃんと食べたかもしれない。
決して贅沢はするつもりはないが、自分に合った飽きずに食べられるメニューでなければ、軽量化も意味が無い、ということが、今回の教訓なのだろう。
それは、エネルギー摂取に直結する問題で、決しておろそかに出来ない。
軽量な食糧計画の先達の例では、山行食は全部アルファ米雑炊という凄まじい方もいらっしゃるが、どうも自分にはそこまでストイックなエネルギー計画は無理なようだった。
最後の手段で「マルちゃんのワンタンスープ」を持ってきているが、これはもし今夜または明日の朝に食欲が沸かない場合、ほぼ間違い無く食べられる最後の手段だ。

全く何も食べないのは心配なので、予備のカロリーメイト、スティック羊羹、ミックスナッツを食べた。若干の補給にはなっただろう。

改めて剱岳を間近に眺める。ホントに登り口の全く見えない、どこから行っても崖にしか見えない山の肌。
すごいな。恐ろしい。そして、神々しい。信仰の山。

と、またしてもポツっときた。雨?そう、雨が降ってきた。
もしや、という気持ちが先走り、ツェルトを引っ張り出してシェルターに被せた。
ここは2520mの高地。ここで荒れた降雨となったら、恐ろしい雨風になるかもしれない。そんな思いがツェルトを引っ張り出させた。
雨は直に夕立となってツェルトを被せたシェルターをたたき始めた。が、昨日ほどの猛烈さではないようだ。
ただし、雷鳴が近い。大迫力のカミナリ様だ。
30~40分ほどだろうか、夕立は雷鳴と共に徐々に遠ざかっていった。

雷雨。雷が近い

雨が止み、外に出た。
日没が近くなっている。虹、しかもダブルレインボーがしばらくかかっていた。

ツェルトを剥がし、広げて干した。

陽が山の端に沈み、夕闇が濃くなってくる。
そろそろお米に吸水しよう。

気温も落ちて涼しくなってきた。
コーヒーでも飲む。

お湯を沸かそう

ここでも面倒くさい固形燃料の儀式が必要だ。
ちょっと計算してみたら、固形燃料の数量が結構ギリギリっぽい。
ちょっと失敗したかなあ。余裕を持って数量調整したつもりだったが、思ったほどの火力が得られず、余計に消費している。

お米を給水している間に、明日のアタックザックを準備した。
ザックはグラナイトギアのスラッカーパッカー。25L。
ツェルト、フリーズ、レインウェア上下、ファーストエイドはフルセット、行動食、水、アマチュア無線機、それにGoproバッテリーやメモリーカードなど。
そして翌日、大変な忘れ物に・・・

吸水したお米を炊く。
Esbitと違ってヤニがクッカー底に着かないのがいい。が、逆に言えばメリットはそれだけで、肝心の火力が弱いのは如何ともしがたい。

なんとか炊いて、タオルに包んでシュラフの中へ入れて蒸らしタイム。
その間にも明日の準備をする。

そして、マグカップで缶詰の湯煎。お湯は味噌汁に。
缶詰も何かバリエーションが欲しいなあ。無理に缶詰でなくてもいいのかもしれない。

蒸らしも終わり、夕飯。メニューはいつもと変わらず、ご飯、サバの味噌煮、味噌汁。

代わり映えのしないメニュー

お酒は飲まなかった。
これは自分でもびっくりした。もちろん、明日の体調を考えたこともあったが、それよりも「別に飲みたくない」という気持ちが強かった。
今回、スキットル(240ml)だけでは足りなかろうと別にペットのアーリータイムスを1本持ってきたが、もしかして余るかも?

普段の生活とは桁違いの運動量のはずなのだが、体が必要とするエネルギー量、つまり食べる量は、およそ半分も無いような気がする。
逆に、都心での生活は、何をそんなにエネルギー量を必要としているのか。いや、そんなには普段も必要としていないのか。
都心での生活は、そのストレスから、登山で必要とする物凄い運動量を補うための食う量の、倍以上の食糧を摂ってしまっているのだろうか。
そんな事を考えてしまった。

ちょっと離れたトイレに行ってシェルターに帰ってきてみると、もう周囲はシーンとしている。
20時00分、自分ももう寝よう。
さすがに剱沢キャンプ場は、翌日登山を目的とする人達が多いのか、就寝が早いみたいだ。
静かなキャンプ場。明日は剱岳登頂を目指す。おやすみなさい。

8月7日 AM 3時10分、起床。
目覚ましが動作する前、周囲の準備の音で目覚めた。
クッカーの音がそこここから聞こえる。登山ベースっぽい朝だ。

自分も固形燃料でアルファ米雑炊を作る。なんとか食べられそうだ。
今ばかりは食べないわけにはいかない。これから8時間もの難しい緊張する登山が待っている。

食後にコーヒー。贅沢にレギュラーコーヒーにした。

レギュラーコーヒー。おいしい

さて、準備をしよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿