2017年10月16日月曜日

北岳登山(2/2)

前編1/2  後編2/2

八本歯のコルから岩稜の登攀

「登攀」とは、手足を使って急斜面をよじ(攀じ)登ることをいう。一般的にはロープクライミングやフリークライミング、ボルダリングなどの事を指している。
北岳登山では登攀用具を使用しなくてはならない場所は無いが、一部、手を使わないと登れない箇所がある。
それがここだ。

ちなみに、ここ北岳には「北岳バットレス」というクライミングで有名な大壁がある。この八本歯のコルからも見える。

ここから、岩稜の登りになる。ひとつひとつの岩の大きさは、電子レンジ、洗濯機から乗用車くらいだ。中にはトラックくらいのものもある。


恐ろしいことに、決して永年安定しているわけではなく、動く岩もあるし、落石となって崩壊することもある。
基本的にはペンキでマーキングされたルートを通る。
グローブが推奨されるだろうが、私は素手で岩を掴んで登っていった。日陰の冷たい岩、日向の暖かい岩。感触を確かめながら登るのが楽しかった。


全行程のうち、この岩稜登攀が最も楽しかった。
森林限界を超え、周囲に遮るものはない。素晴らしい開放感と高度感だ。

アクシデント

と、ふと右足のグリップに異常を感じた。
またソールのかかとが緩んだか、と見てみると、なんとソールが完全に剥離していた・・・
「なんてことだ」
場所はまだ岩稜の半ばほど。
とりあえず他の登山者の邪魔にならない場所を見つけ、ザックを下ろした。

(;´・ω・)

右の登山靴を脱ぎ、点検してみる。
どうやら単純に剥がれただけで、幸い破れなどの損傷は無いようだ。
となれば、パラコードなどでがんじがらめにすれば行動可能だろう。
テーピングテープも使うか、と考えたが、固定の効果はさほどでもなさそうで、とりあえずパラコードのみで固定してみた。
今考えれば、テーピングテープも使えば更にしっかり固定できたと思われる。
ついでに左足も点検。今のところかかと剥がれ以外の異常は無いようだが、今日のテント場で右足と同様に固定してしまおう。

だいぶ時間を食った。
固定はしっかり出来たようなので、登ってしまおう。

吊り尾根分岐へ

岩稜登りの続き。
少しづつ吊り尾根分岐へ近づいていく。
どんどん風が強くなってくる。
それと共に、少し動くと息切れがするようになってきていた。
高度はおよそ3000m。酸素濃度は平地の68%。かなり影響しているはずだ。
昔、ヒマラヤトレッキングに行ったときのことを思い出し、水分補給と意識的な深呼吸(鼻から吸い口から吐く)を繰り返して進む。

更に風が強くなる中、吊り尾根分岐の稜線に出た。


危険な強風に巻かれる

と、ここで物凄い突風に見舞われた。
冗談じゃなく体が浮いた。私の体重は74kgある(帰宅して計ったら71kgだった)それに、ザックは11kg。合計85kgの塊が、一瞬浮いた。
バランスを崩して地面に手を付いたが、咄嗟に近くの岩にしがみついた。
台風のような暴風に耐え、岩に捕まりながら、なんとか岩陰に避難した。

同じように若い男性がもうひとり、避難してきた。
お互いに顔を見合わせ、苦笑い。

私は長袖シャツに登山パンツ。
強風に晒され、体温がどんどん奪われていくのが分かった。
すでに震えを感じ始めていたので、アウタージャケットを着ることにした。
サコッシュを外す。突風に持って行かれないように、いったん左足にストラップをかける。
ザックを開け、一番上にしていた黄色のアウターを取り出す。これも油断すると吹っ飛ばされるので、がっちり掴んだまま袖を通す。
ザックからアウターのすぐ下に詰めていたゴアテックスのレインパンツも慎重に取り出す。
ちょっと履くのが面倒だったが、登山靴のまま履けるタイプなので、なんとが足を通す。
ついでに軍手を出してアウターのポケットに突っ込んだ。
そして、アウターの前を全閉。あごまですっぽり覆われる。フードも出して被り、ドローコードを絞って頭と耳を守る。
そして、軍手を履く。これでなんとか耐えられるようになった。
とはいえ、かなり体の震えが強い。しかし、今立ち上がると、飛ばされはしないと思うが、間違いなく激しく転倒するだろう。
体温はなんとか維持出来るようだが、長時間に及ぶようであればダウン上下を着てしまうしかないかもしれない。
どうしてもダメそうなら、救助を要請するしかない。私はアマチュア無線機を持っている。どうする?使うか?もう少し様子を見るか?
それほど切迫した状況だった。

幸い、30分ほどで風は弱まってきた。
また来るか?このまま収まるか?
しかし、案じたところでどうにもならない。
引き返すか、前進するか、決断するしかない。
ビビリな自分に活を入れているつもりで時間稼ぎをし、しばらく様子を見て、一緒に避難した男性とも相談して、このまま登頂することにした。
風はかなり収まってはいたが、それでもまだ耐風姿勢を要するほどの風が吹く。


北岳登頂

現在標高3090m、吹きさらしの荒れた3193mのとんがりを目指し、登山道を辿って登っていく。
丸木を横にした道が示され、鉄筋棒にロープが渡され、なんとか辿れる踏み跡を登る。
さすがに岩稜の登りのように、3点支持を意識せざるを得ない危険箇所は、そうはない。ないわけではないが。

なかなかえげつない斜度

時折、突風が吹く。先ほどの恐怖感が蘇り、咄嗟に近くの岩や丸太にしがみつく。

11時20分
北岳山頂に至った。標高3193m。


周りには何も無い。そりゃそうだ。日本で二番目に高い山なのだから。360度展望である。
実は日本で3番目に高い山も、すぐそこに尾根が連なっている。今回はルートから外したが、もし次に来るとしたら、一緒に登ってもいいかもしれない。

遠くにうっすらと富士山が見える。残念ながらGoproやスマホでは写らないほどにしか見えない。
日本で2番目に高い山から、日本で1番高い山を眺める。
なんだか不思議な感慨があった。

先に登頂していた登山者の男性、吊り尾根分岐で岩陰で一緒に突風に耐えた男性、私、それに後から登ってきた男性。
いずれも単独者ばかり。
写真を撮り合ったり、ちょっとおしゃべりをしたりする。
私は別に他者とのコミュニケーションが苦手なわけではない。普段私が一人なのは、野外活動で一人という贅沢を味わいたいだけだからだ。都会暮らしのサラリーマンの逃避行動なのかもしれない。
だが、日本のメジャーな登山域ではそれはかなわない。帰ってから他の方のブログなどを拝見すると、この北岳も、休日あるいはシーズンなどはテント場の場所も困るほど混み合うという。既に日本の登山域は登山客で混み合うエリアになってしまっているのだ。
このように、平日であれば、わずかな閑散さを感じることが出来る。
が、それも、吊り尾根分岐で先ほど食らったように、自然がもたらす危険をも単独あるいは僅かな人数で対処しなくてはならない、というリスクもある。

さて、いつも山頂では僅かな時間しか過ごさない私にしては長い時間留まっていた(15分くらい?)
皆さんにお先に別れを告げ、無事を祈って。肩ノ小屋へ下り始める。

肩ノ小屋テント泊

荒れた岩稜の登山道を降りていく。富士山みたいに整備されてはいない。
私の好みはもちろんこういう姿だが、それだけ膝などに負担もきつく、体力を消耗する。精神的にもきつい。
もう止めようか、と思っても、同じだけの思いをして引き返すか、勇を奮って前進するしかない。単独ならばなおさらだ。手伝ってくれる同伴者も、相談出来る友人も、元気付けてくれる仲間もいない。全てを自分自身で決断して行動する。それが単独行の醍醐味なのだ。

ここからは下りしかない、と思えば、少しは気が楽だ。
肩ノ小屋にはほどなく着いた。


ザックを降ろし、テント泊の受付。700円。え?700円?WEBのサイト案内では600円になってたけど?
よくわからないが、まあいい。僅か100円の違いだ。そのまま受付を済ませる。
受付を済ませて、まずはプラティパス2Lに水を汲む。水場で蛇口からプラティパスに注いでいるときに、横の料金箱に気がついた。ありゃま。1L=100円とのことなので、200円を入れた。

トイレも1回100円とのこと。それなりにお金がかかるのね。
まあ、この高地でこれだけの営業小屋を維持しようと思えば、ずいぶん費用が大変だろうに。

テント場に下りる。結構な急斜面だ。
あちこちに平場が設けられているが、それほどきちんと平らなわけではない。


まあ、低地のキャンプ場みたいなわけにはいかない。
一度シェルターを張ってみたが、どうにもナナメなので、空いている隣に引っ越した。
私を含めて3張りしかいない。その後も1~2張りしか増えなかった。


テント場より1時の方向に、富士山が見えた。

まだ陽は高いが、十分に体を休める必要がある。
お昼過ぎ。予定では昼食だが、どうにも食欲が湧かない。食べたほうがいい、とは分かっているが、食材をあれこれ見ているうちに無理に食べなくてもと思い返し、ココアだけ飲んだ。

エレクトリカルエネルギーの喪失

ここで、重大な失敗に気がついた。モバイルバッテリーの残量が無い。
持って来たバッテリーは15000mAhのものだが、スマホ充電1回と、Gopro電池(3個)の再充電で使い切ってしまったらしい。
スマホの充電は18%しか残っていない。
Goproは、満充電の電池があと1個。

Goproは、あと1個あれば、なんとか下山の分は取れそうだ。

が、スマホはアウトだろう。
動作させっぱなしのYAMAP記録はここまでで潰えることになる。まあ、それほど惜しくはないが。今までもちゃんと記録を取っていたわけじゃないし。
肝心の記録はノートに筆記で記している。
しかし、下山した際の、「WEB登山届け」のワンクリック下山通知が出来ないかも。予定通りに下山しないと連絡が来たりするらしい。

バッテリーの問題は実は翌朝にある程度なんとかなるのだが、この時は、Gopro撮影僅か、スマホはシャットダウン、ということで、まだ陽の高いうちからデジタルガジェット絶ちをするはめになった。

3000mのテント泊

音楽も聞けない、映画も見れない。
書物を持って来ているわけでもない。
まあ、わざわざ3000mまでよじ登ってきて、そんなことばかりしているのもどうかと思うが、退屈なのは確かだ。
しかしこれは、私の人生では一番の贅沢な退屈だと思えた。


ずいぶん余った食糧を見ながら食糧計画の見直しを考えたり、地図を見て別のルートを考えてみたり、うとうとしたり、シェルターから出たり入ったり、周辺を散策してみたりした。

そうこうしているうちに、日が暮れてくる。
相変わらず、うっすらと富士山が見えている。
眼下に市街地の明かりが見えてくる。あれ?意外に近くに見えるな・・・
風が強くなってくる。張り綱をもう一度点検する。

さて、日も暮れたので、夕食の時間だ。食欲は相変わらず無いが、翌日のことを考えるとさすがに何か食べなくてはならない。
食べられそうなものといえば・・・そうだな、さっぽろ一番味噌ラーメンか。
キャベツも持って来たし、これにしよう。


110サイズのEPIガス缶はまだ燃料がある。この分なら、明日の朝も大丈夫だろう。
2個持って来たが、結局1個を使い切るくらいで終わった。5食+コーヒーやココア2~3杯分くらいか。

氷点下の夜

19時。まだ早いが、することもないので早く寝てしまおう。
明日も早く起きて、早々に出発しよう。

風が結構強いが、ペグダウンも張り綱もしっかりとってあるので大丈夫だろう。
シュラフに潜り込む。3000m級にびびって持って来たダウンの上下は使わずに終わりそうだ。800gの超過重量。

と、うとうとしていたら、シェルターの壁を打つ雨らしからぬ音がする。雪、ではない。みぞれ?入り口を開けて確認してみたら、あられだった。細かい氷の粒が降り注いでいる。
ふと気がつくと、シェルターの内側は結露ががりがりに凍り付いている。気温は氷点下か。
まあ、結露は凍ってくれたほうがポタポタ垂れてくるよりいい。
もう一度シュラフに潜り込んで寝た。

下山準備

AM3:00
目が覚めた。実は腕時計のSUUNT Vectorも電池切れ寸前でアラームがセット出来ない。
スマホはもちろん電源オフ。試しに一度オンにしてみたら残12%だった。
なんとなく目が覚めたら3時だった。
どうせ早く出るつもりなので、起きてしまう。それほど寒くはなかったが、せっかく持って来たのでダウンの上下を着た。あったかい。

モノは試し、と思い、モバイルバッテリーをシャツの胸ポケットに入れて体温で温めてみる。スマホも逆のポケットに入れる。
十分体温で温められたところでUSBケーブル接続し、充電開始。すると、ちょっとバッテリーが復活しているようだった。
そのまま両方とも胸ポケットに入れたまま充電し続け、スマホは34%まで回復した。
とはいえ、これは下山時にワンクリック下山通知にとっておかなければならない。
そのまま電源オフにして仕舞っておいた。

せっかくだからコーヒーを飲む。高校生の娘がくれたドリップコーヒー。


いつもはインスタントばかりだが、実は喫茶店の常連でサイホンで淹れたコーヒーを飲み続けた過去のある、密かなコーヒー通だったりする(大袈裟)

さて、今朝も食欲はない。疲れ過ぎたのだろうか。とはいえ何か食べなくては。
食指が伸びたのはカップヌードルだった。

カップヌードル・シーフード(リフィル)

これは今日の昼用の計画だったが、早出にすれば昼ごろには下山出来る行程なので、食べられそうな今食べることにした。
どうしても昼が必要なら、米も味噌汁もおかずもある。かなり食べ物は余らせた。

食欲の無い時にもカップヌードルなら食べられる。そんなに軽量でもないし嵩張りもするが、これは重要なことだ。キャンプなどでは事情が異なるが、登山では極度な体力消耗時に自分が可能な栄養補給方法を考えないと、動けなくなる。
私の場合は最後はミックスナッツとチョコレートを貪り食ってアクエリアスのハイドレーションで流し込む。

一休みして、手早く荷物を片付ける。
片付けは簡単と思っていた。が、昨日もそうだが、なんだかんだで1時間ほどかかっている。予想よりずっと時間がかかるようだ。要領が悪いのだろうか。

朝焼けの富士山が見えた。


下山

AM5:30出発。
下りのみだと思えば気が楽だが、外れたソールの事が心配だ。慎重にいこう。

帰りは小太郎尾根分岐から右俣コースに折れ、大樺沢に出る。
小太郎尾根分岐までは開けた景色のいい尾根。


相変わらず足場はそれほど良くはないが、非常に開放感のあるいい下りだ。

鼻歌混じりで小太郎尾根分岐まで来て、右に折れて右俣コースに入る。ここからは傾斜がちょっと急になり、樹林帯に入っていく。
すぐに暑くなり、アウタージャケットを脱いだ。

ソールの剥離した右足を点検しながら下っていく。1~2度、パラコードを締め直しただけで済んだ。
ふくらはぎと腿の筋肉を使い、極力膝に負担をかけないように下っていく。
私はこれまで何度も下山で膝をやられ、2本のトレッキングポールを松葉杖代わりに下山しているので、自分の膝を全然信用していない。

樹林帯は特に景色はないが、今日は晴れで、木陰の涼しさがありがたかった。それに、大樺沢の渓の音が徐々に近づいてくる。右俣コースを抜けるのに、標準歩行時間は1時間20分。今回、登りではほぼ標準タイムで歩けているので(ロスタイムを除く)スマホのGPSが使えず現在地確認が正確に出来ない今、コンパスと地図で地形の検討をつけ、経過時間でだいたいの位置を推測する。正確には分からないが、これでだいたい合っていた。

雪渓が見えてきた。もう少しだ。


相変わらず急で荒れた山道を下りていく。

大樺沢に出た。ちょっと道が怪しいが、方向は分かっている。
1時間半ぶりに開けた景色を拝めた。
バイオトイレ目指して下っていく。

体調の異変?

それほどトイレに行きたかった訳ではないが、一応ここでトイレタイム。まだここから下山まで2時間はあるのだ。
チップ制になっているので、100円を投じて使用させていただく。
と、なんということだ・・・血尿が出てきた。それも、野菜ジュースみたいなやつ。
腎臓にダメージ?ウエストベルトを締め過ぎた?3000mのせい?
まあ考えても仕方が無い。トイレを済ませて、ちょっと休憩。
ここでほぼ飲みきったプラティパス500mlにアクエリアス粉末を入れる。同じくプラティパス2Lから水を半分ほど補給。漏斗みたいなものはいらない。慎重に移し替えればこぼさずにちゃんと入れられる。
500mlに蓋をしてよく攪拌(がしゃがしゃ振る)2Lから残りを注ぎ、ハイドレーションに付け替える。
これで手持ちの水は使い切った。
ここからは沢沿いに行くので水には困らない。凄い水量が轟々と流れている。

アタマを洗おう

支度をしてちょっと歩き出したが、思い返して、荷物を下ろして沢へ下りた。
アタマを洗ってしまおう。シャンプーも石鹸も無いし、あってもここでは使えない、使わない。ただ、沢の水でアタマをがしがしと洗うのだ。これはヒマラヤでもやった。
Goproをセットしてみたが、アタマを洗い終わってみれば撮れてなかった。なんだよう。もう一回やるのも馬鹿馬鹿しいし、まあいいか。

大樺沢沿いに下山

気分爽快で再出発。徐々に登ってくる人が増えている。広河原にバスが到着して次々に来ているのだろう。

地図では等高線が間延びして緩やかそうだったが、あまりそうは感じない。確かに斜度はずいぶんマシになったが、荒れた岩の下りが続いている。思ったほど楽ではない。


ちょっと膝が笑い始めた。いや、油断するとよろけるほど、足元が危うくなっている。
ここで気を抜くと膝痛に見舞われそうで、ミックスナッツやチョコレートを貪りながら腿とふくらはぎの筋肉を少しづつ使って下りていく。
ちょっとヤバそうになってくると、少し休む。5分程度だ。それ以上だと、立ち上がるのに苦痛を覚えた。

それにしても大樺沢は凄い水の量と勢いだ。
マイナスイオンたっぷり(トンデモ科学?)は結構だが、大雨などで増水した光景を想像すると恐ろしい。どうなってしまうのだろうか。

耳を聾する渓の轟音に巻かれ、震え始めた膝に鞭打って、少しづつ歩を進める。
登山靴に不安を抱えてはいるが、こう足元が涼やかな水の流れでは、踏み込んで行かないわけにはいかない。どのみち、それがこの山道になっている。幸い、浸水することは無かった。

少しづつ下り、昨日お昼にカレーうどんを食べた分岐点に来た。もう少しだ。
昨日歩いたはずの道だが、下りだと見覚えの無い道に思えた。
ヒグマの大将が住んでいそうな、折れた大木があった。

PM11:00
広河原山荘に到着。ノートに時間を記す。結局、毎回登山ではこのノートに記入していく方法が、私には合っているのかもしれない。ノートはかつて小学生の息子が私の誕生日プレゼントにくれたものだ。
奥多摩を水根沢から鷹ノ巣山に登った時は、スマホのボイスレコーダーを使った。記録していくときは簡便でいい方法に思えたが、帰ってからひとつひとつの記録を聞いて紙またはテキストに起し直さなくてはならず、結局二度手間に思えた。

吊り橋を渡る。この吊り橋が登山エリアと娑婆の境目みたいで面白いと思った。


広河原バス停に到着、登山終了

広河原のバス停に到着。バスは2時間後。チケット売り場はまだ開いていない。
隣接するビジターセンターでザックを下ろす。
そしてトイレへ・・・・やはり明確な野菜ジュース(血尿)だった。
2~3日直らないようなら医者へいかねば(結局1日で直ってしまった)

2階へ上がり、自販機を探す。見つけた。ペプシストロングをチョイス。
350cc一気飲み!・・・と思ったが、飲みきれなかった。

何か家族におみやげを、と思ったが、4000円のTシャツやアクセサリー類くらいで、お菓子などはなかった。残念。
ガスカートリッジや登山靴が売っていた。

AU電波は飛んでいないので、ここからWEB下山通知は送れない。
移動途中で送った。

帰りのバスは、空いていたとはいえ、ほぼ満席。半分の人たちは一般車進入禁止の手前の駐車場&温泉街で降りた。皆、車で来たのだろうか。

バスに乗って甲府駅に向かう。
徐々に娑婆の空気になじんでいき、今回の北岳登山は終わった。
良い登山だった。

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