2018年12月16日日曜日

【奥多摩縦走ツェルト泊】5つの山を制した男・その1:登山開始~ツェルト設営

2018年11月22日 - 24日

今年は南アルプスや北アルプスでひどい目に合い続けてきたので、ホームともいうべき奥多摩をのんびり縦走することにした。
新しく買ったモンベルのULツェルトのテストもやってみたかった。
単に思いつきなのだが、クリスマスのシーンもちょっと作ってみたかった。


準備の段階では32LのOMMザックにしたかったが、なんやかやと11月下旬になってしまい、最低気温が氷点下に突入してしまっためダウンウェアの装備が必要となり、52Lのいつものグラナイトギア・ヴァーガで行くことにした。
32Lでも何とか入ることは入るが、ザックが妙に丸っこくなってしまい背負い難い。おとなしくヴァーガにしたほうが快適だ。


奥多摩小屋は来年(2019年)3月末日で廃止になり、野営地は使用禁止になる。今のうちに行っておきたい。

やはりバ○とナントカは高い所に登りたがるもので、奥多摩最高峰である雲取山にしたかった。もう何度登ったことだろうか。
今回はそのまま鷹ノ巣山まで石尾根縦走路を辿り、鷹ノ巣山で2泊目。下山はそのまま石尾根を歩いてJR奥多摩駅に帰る。

 鴨沢⇒奥多摩小屋(ツェルト泊)⇒雲取山⇒七ツ石山⇒高丸山⇒日陰名栗山⇒鷹ノ巣山避難小屋(ツェルト泊)⇒鷹ノ巣山⇒JR奥多摩駅
七ツ石山には登った事が無い。
いつもは鴨沢から登るため、気持ちの良い巻き道を使ってしまう。今回初になる。

さて。
始バスでJR八王子駅に向かい、立川から始発の奥多摩行きに乗る。
仕事の疲れからか、珍しくウトウトしていたら、○○駅~○○駅間で電車が緊急停止した。
まあ、JR中央線ではそんなに珍しくはないが、停止した原因は「線路をイノシシが横切りました」
ああ~。マジか。
気が付けば、自分の乗っている車両には誰もいない。私ひとりだけだった。

3分遅れで奥多摩駅に到着。
鴨沢方面へ向かうバスの時間がぎりぎりでちょっとあせったが、30分以上バスに乗車しているので、トイレにだけは慌てていっておいた。
用意しておいた登山届を登山ポストに入れて、停留所へ。

AM7時41分。鴨沢バス停を出発。
ちょっと降り出しそうな天気。予報では、明日と明後日は晴れるはず。

今回は、着古したいつものモンベルの黄色いヤッケ(jacke[ドイツ語]。アウタージャケット)を着てきた。北アルプスで7千円の中華ジャケットが、撥水も透湿もイマイチだと知れたので、引退させるつもりだったMontBellの黄色いジャケットをエバニューのNIKWAXで洗浄も撥水処理も二度づつやって、徹底乾燥させておいた。
とはいえ、いかんせん古いジャケットなので、どの程度性能が戻るかは未知数。自分的には5割程度戻ってくれればいいと思っている。
これで愛用のジャケットが復活してくれれば、御の字だ。

鴨沢バス停からすぐにキツ目の登りが始まる。気温はかなり低いが、直に暑くなってくるだろう。


そして、すぐに気が付いたが、やはり中華ジャケットとは透湿性が段違いに効いている。保温効果はおそらく中華Jとそこそこだと思うが、蒸れる感触が全くといっていいほど無い。驚異的だ。
もちろん、杉林の山道を抜ける頃には額に汗が滲んでいて、駐車場の脇で黄ジャケットを脱いだが、蒸れた感じはほとんどなかった。全く無いわけではない。が、不快にシャツが蒸れで濡れる感触はしなかった。

丹波山村営駐車場でトイレを借りる。2年ほど前?に新設されたきれいなトイレだ。協力金を100円入れた。

そのまま舗装道をちょっと登り続け、すぐに雲取山登山口に着く。
でっかい丸のモニュメントは再利用されていた。

2017年12月

その横に熊出没の注意書き。先月の中旬に雲取山近くの登山道でツキノワグマが出て、山小屋のおじさんが軽傷を負った末に追い払うことに成功した模様。
ホントに出るから要注意。

のんびり登って行く。鴨沢ルートは長い。今日は平日だから、他の登山者も全くといっていいほど見かけない。好きなだけゆっくり歩ける、贅沢な時間。


紅葉がきれいだ。明日からの3連休は、ここも相当登山者で混み合うだろう。そうすると、のんびり紅葉を楽しみながらゆっくり歩くことは叶わない。どうしてもパッシングしたりされたりに気を使ってしまう。奥多摩は都心からアクセスが良いので、人気の観光登山エリアのため、いつも混み合う人気の山域なのだ。
若干、道が崩れて危険個所が出来ている。大したことはないが、注意は必要だ。それに、倒木が目立つ。ちょっと、環境が荒れている感じがする。天候などの影響のせいだろうか。

と、ふと斜面にカモシカがいるのに気が付いた。こちらをじっと見ている。こちらもじっと見てしまう。


まだ若いのか、メスなのか、やや小柄なカモシカだ。
ところが、いつまでたっても見つめ合うばかりで、ちっとも動こうとしない。
驚かさないように、Goproを向けたまま、そーっと移動してみる。カモシカはそのまま私を見続けている。
まったく動く様子が無いので、手を振ってバイバイして先に向かった。

カモシカにガン見された後しばらく行くと、水場に着いた。ここでプラティパス500mlに水を補給した。
人によるのだろうが、私は登山中に消費する水分量が少な目だ。奥多摩小屋まで、おそらくこの500mlの半分も使わないだろう。
途中、七ツ石小屋と、もう一か所、水場があるため、万が一不足気味になっても問題無い。
高所登山(4000m級以上)の場合は1日4L程度の水分摂取が必要とされるが、日本ではそれは当て嵌まらない。昔、ネパールのゴーキョピークトレッキング(5360m)に行ったときは毎日必死で水を飲み続けた。ぼーっとするんだよね、あれ。

名所案内のプレートなど撮りながら、どんどん登って行く。が、決して急いでいるわけではない。


他の登山者にはやっぱりほとんど遭わない。
もう何度も登っているルートなので、正直、目新しさはほとんど無い。一部登山道が僅かに崩落して道普請が変わっていたり、岩と石の多い急登の斜面が登りやすいように均されていたり、超太い倒木が遠慮なく登山道を塞いでいたり、いつもと違う僅かな変化を目の端で捉えながら、いつもと同じペースで淡々と登って行く。

今朝は5時半頃にコンビニのおにぎりを2つ食べた。そして今、10時少し前に「急にお腹が空いたような感じ」がやってきた。
私はこれを自分のエネルギー残量が黄色から赤ゲージに差し掛かるアラームと思っていて、サコッシュからミックスナッツの小袋とチョコレートを出しで歩きながら食べた。この行動食で若干のチャージが出来る。
いつもいつもミックスナッツとチョコレートじゃあなあ、と思い、色々なお菓子類を試したりしてはいるものの、今のところこれが一番食べやすかったりしている。が、やはりずーっと続けて同じものを食べていると飽きるので、たまに違うものにしてみたりしている。
ちなみに、ややがっつり系でエネルギー補給したい時は、カロリーメイトを食べることが多い。
もちろん、粉っぽくて食べにくいところはあるが、ロードバイクなどと違って登山は歩きながら食べるので、どのみち水分補給はするわけだし、そんなに呑み込めないほど喉に引っ掛かる粉っぽさではない。ゼリー系だと短時間であっさりチャージ分を消費してまた食べたくなるし、そこは人によって好みが様々なのだろう。
私はその他に、甘栗むいちゃいましたと小分けになっている羊羹をよく食べる。

七ツ石小屋への分岐を過ぎ、おっかない橋を渡ってしばらくすると、小雨が降ってきた。


大したことなければこのまま行ってしまおうと思ったが、途中で無視出来ない程度な雨量となったため、アンダーシャツに黄色いヤッケ、下は登山パンツのままで登り続ける。

ほどなくブナ坂に到着。


開けた石尾根縦走路に出ると、雨は小雨から普通の「雨」になった。諦めてレインパンツを履く。
このレインパンツは例の透湿性の無いヤツだ。蒸れるのは承知だが、履かないわけにはいかない程度の雨量だ。まあ、ここから奥多摩小屋まではそれほど距離はないので、問題無いだろう。


開けた左側から吹き付けるように雨が降り続く。さて、NIKWAX処理の25年もののMontBellアウタージャケットの様子はどうか。
・・・どうやら問題無さそうだ。若干、雨滴を弾かずに極小粒の雨粒が沁みている痕がぽつぽつあるが、厳し目に見ても6割以上は撥水機能が生きている。いや、6割は厳し過ぎか。面積で言えば雨が沁みている箇所は10%以下、いやシャーレにつまようじでポツポツつついた程度しか沁みてない。
これなら十分だろう。はっきり言って通勤で使っている6千円の雨カッパよりも断然優秀なくらい、復活している。

いつもは左に見える富士山は雨で全然見えない。残念だが仕方がなかろう。
ダンシングツリーに1年ぶりの挨拶をして先を急ぐ。


雨は徐々に小降りになってきた。

12時17分、奥多摩小屋に到着。ヘリポートを通り過ぎ、キャンプ場の様子を見てみる。


おや、誰もいない。テントが1張も無い。どうやら私が最初の1人なようだ。

あちこち、どこに張ろうかと迷いながら歩く。いつも混み合う奥多摩小屋では考えられないほどの、選び放題の贅沢だ。
結局、去年もツェルトを張った場所にまた張ることにした。ここが一番いい。もちろん地面は平でほぼ水平だし、正面に富士山が見えるのだ。

雨はほとんど上がっているが、まだ僅かに顔に雨粒を感じたりする。

今回はULツェルト。生地は僅か10デニールのペラッペラなので、緊急時でもなければ地面に直接敷く気にはなれない。
久しぶりにトミカのピクニックシートを敷く。その上にULツェルトを広げてみると、あれ?トミカシートの長さが足りない。縦200cmじゃなかったっけ?(1800x900だった)
4隅をペグで固定する。アライのスティックペグは北アルプス雷鳥沢キャンプ場に、抜いた後きれいに拭いてまとめてそのまま8本を忘れてきてしまったので、新調した同じくアライのクロスペグを使う。このペグ、丈夫で曲がり難く刺さりやすく軽いのはステキなのだが、抜いた後に土がやたら詰まって取れにくいのが玉に瑕。
例によって完全に頭まで打ちこむと翌朝地面の凍結で抜けなくなる可能性があるので、半分から3分の2くらいにしておく。結局、翌朝は凍結していなかったが。

奥多摩小屋の野営エリアは樹林が豊富なので、ツェルトの支柱にする枝には困らない。が、たぶん、次の鷹ノ巣山避難小屋のエリアも同じ樹林で困らないはず、だが、万が一を考えてツェルトポールを持ってきた。
まず無いとは思うが、きれーーいに刈り払われていて適当な1mくらいの枝も皆無のような状態だったり、枝が落ちてそうな場所がロープ規制で立ち入り禁止だったりすると、この山行はツェルトを被って寝るしかなくなる。
まず無いはずだが。
一応、「テント泊登山」なのだから、ちゃんとテントとして張れる装備はしてくるのであった。

ということで、大枚叩いて購入したSixmoon Designsのカーボンポールを取り出す。これ、本来は同社のUL非自立テントに使われるものだが、もちろんツェルトポールとしても使える。
重量僅か1本で51g。これまで使っていたアライテントのツェルトポール2だと1本97g。つまりおよそ100gの軽量化だが、その100gに1万2千円も出すのかという狂気のアイテムでもある。缶詰1個をフリーズドライのおかずに変更すれば余裕で稼げるグラム差だ。

ま、まあ、、とにかくポールでツェルトを張る。ガイラインはA○azonで購入した1.8mmのナイロンロープ。先鋭的なダイニーマロープなどではなく、フツーの中華ナイロンロープで激安。黄緑色のリフレクション。このリフレクションだが、今回実戦使用は初めてだったが、めっちゃ光ることが判明した。すごい、もーのすごい光る。大満足である。安いから惜しげなく使えるし。
ただし、1.8mmという微妙に細いサイズなので、絡みやすく、結びにくい。

ULツェルトは横幅80cmなので、トミカシートの横幅がだいぶはみ出す。これだと雨や夜露を集めてしまうので、80cmに収まるように折りたたんだ。正面右を畳んでみたが、横風の吹き込みでめくれてしまうので、あらためて左を畳んだ。


ツェルト入口を開け、厚さ2mmの銀マットを中に敷く。大きさは161 x 45cm。ZIPLOCKの保冷などで切って使っているため、最大長で161cmしか取れなかった。が、目的は地面の冷気から背中を守るためなので、これで十分。この上にリッジレストSO-Liteを敷く。
理由は分からないが、純粋に雪上だとSO-Liteのみで断熱は十分。なのだが、何故か凍てついた土の地面だと、SO-Liteのみだとかなり冷たく感じる。

ここで、雨が上がっていることに気が付いた。
MontBellの黄色ジャケットは濡れている様子は無い。蒸れも感じない。
が、透湿性皆無のレインパンツは案の定悲惨な事になっていて、脱いだ途端に汗でひや~っとした。もちろん汗だくではなかったが、それでもしっかり蒸れていた。レインパンツの裾から手を入れてみると、内部は汗で相当濡れていた。
これは、あれだ、登山で使うには問題があるかもしれない。もちろん、雨で濡れるよりはマシ、という使い方であれば十分機能を果たしてくれるが、あえてこのご時世に透湿機能無しのレインパンツを使う理由は無いだろう。
ツェルトポールに引っ掛けておいて乾かした。

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