2018年12月26日水曜日

【奥多摩縦走ツェルト泊】(最終回)5つの山を制した男・その5.鷹ノ巣山登頂~下山

8時14分、出発。
鷹ノ巣山の山頂を目指す。
地面はうっすら雪化粧されている。避難小屋キャンプ地からそのまま続く登山路を登って行く。


案外、風がある。


横切る形の風で、木々に着いた雪や氷の小片を吹き流している。幻想的な風景だった。
しばし足を止めて見とれていた。


(「ダイヤモンド・ダスト」と思ってその4で予告紹介を動画の最後に挿入した、が、これはダイヤモンド・ダストではなかった。
ダイヤモンド・ダストとは、非常な低温下で空気中の水蒸気などが凍り舞う様子を指す、とのこと。
その4のアップ直前で気付き、慌てて編集し直し。作りかけのその5の動画も編集を修正した)

それなりの急登をゆっくりと登って行く。先にも後にも誰もいない。
樹氷となった木々より風で流れてくる雪と氷の小片、ひとりきりで息を切らして登って行く自分。


こんな夢幻的な世界が現れるのだから、登山は止められない。

8時43分、鷹ノ巣山に登頂。山頂には先行の老婦人が単独でいらっしゃった。が、比較的短時間で避難小屋方面に下っていかれた。
取り残された自分は、山頂を独り占めだ。珍しく、のんびり山頂で過ごした。

山頂からの素晴らしい景色
山頂碑
三角点
指道標
木が雪と氷の細片を纏っている

8時55分、下山開始。ここからは石尾根縦走路を最後まで辿り、下山する。そしてそのまま徒歩でJR奥多摩駅まで歩き通す。
何度か通っている道だ。
非常に長い下りなので、膝をやられないように意識してゆっくり歩く。


今回はここまで膝は無事だった。若干、右膝にきているようにも感じたが、なるべく膝を曲げて腿とふくらはぎの筋肉を使い、膝への衝撃を極力避けて長い時間を歩いてきた。
ここまでは成功のようだ。
この下山も無事に終わらせよう。

そこここで急な下りも多い。
時間をかけてもいい、ゆっくり下りて行く。

水根への分岐あたりまで全く人に会わなかったが、そこから少しづつ登りの登山者とすれ違うようになってきた。
挨拶をかわして行き違う。

六ッ石山の分岐で、ふと迷う。


登ろうか?登れば今回は6つの山頂を制したことになる。


しかし、止めた。

別に体力がヤバかったわけでも時間がおしていたわけでもないが、なんとなく、次以降にとっておきたかった。
結局登らず仕舞いで、ああ、あの時登っておけばよかったなあ、と思うかもしれないし、また行こう、今度は登ろうと思うかもしれない。
そのどちらも楽しい気がしたのだ。
特に何かにこだわりがあるわけではないし、どうしても達成したい目標があるわけでもない。私の登山はそんな感じかもしれない。
登頂にしてもキャンプ地にしても、一期一会で通り過ぎてきている。
そんな感じが好きなのかもしれない。

六ッ石山をパスしてしばらくして急な下りになった時、ヘリの爆音が響いてきた。上空を通過するでもなく、どこからともなく滞空しているように山間に響き続けている。
と、後ろから変な音が聞こえてきて、何かと思ったらMTBだった。どこから登ったんだろうか?


ヘリの爆音は前方からだった。ひとつ向こうの山頂付近に、赤いユーロコプターのAS365らしき機体が上空で静止している。
救助?訓練?ここからでは判別はつかない。


よく目を凝らして見ると、ヘリの側面ドアが開いている。そのまましばらく動かなかったが、何やらロープ(ワイヤー?)を垂らし始め、更にはそのロープの先には人らしき姿形が見える。
ゆっくりとロープは下りて行き、山頂付近の開けたような場所に人らしきものが下りて行った。
と、しばらくしてロープを投下したか回収したか、ヘリは一度飛び去って行った。
ふーん、訓練?なんだろう?
と、下山を再開したら、じきにヘリが戻ってきた。え?戻ってきた?
再びホバリングで上空に静止している。
しばらくすると、こんどは何やら人らしきを釣り上げているようだった。
釣り上げ終わると、側面ドアを閉め、飛び去っていった。
何だろう?結局、訓練か救助か、それとも別の事だったは分からなかった。
再び、静かな登山道が戻ってきた。

もう何度も通った道だから、だいたい様子は分かる。
だいぶ下山してきたあたりで、人の身長の高さくらいに掘れたぬかるみの下りが現れる。


ここは苦手だ。3シーズンではぬかるみどころか、田んぼの田植えのような状態になる。
ほとんどは脇の林間に逃げて通過するが、これがまた、湿った土道の下りと木の根っこのダブルパンチで非常に滑りやすい。
一度、転んでひどい目に合った。泥がべったり付くのだ。落とすのに非常に苦労した。
今回はどうか。見たところはそんなに泥濘になっていないに見える。
おそるおそる踏み込んでみる。・・・・うん、多少滑りはするが、例の田植え状態にはなっていないようだ。

と、思っていたら滑った。ちょっと手をついて汚れただけで済んだ。危ない危ない。


これでも左右の木の根ミックス泥道よりはマシなので、掘れた中に入る。滑る箇所も多々あるが、通過する登山者が少ないせいだろうか、ずいぶんマシだった。

少しづつ、家族連れの登山客とすれ違うようになってきた。あんなに小さい子供連れで、この先の超絶長い登りを行けるのだろうか。

ようやく登山道終点(入口)に近づいてくる。
途中、小さな神社がある。3日間の縦走の無事を感謝して100円を奉じ、お礼のお参りをする。
これも私の中では恒例行事になっている。

そして出口。登山は終了だ。林道に出る。


ここから奥多摩駅まではまだ少しあるが、消耗した両足を労わってゆっくり歩いていく。
途中に三峯神社がある。ここでも無事を感謝してお参り。
少し荷物整理をして奥多摩駅に向かう。

初日に少し雨が降ったが、あとはいいお天気だった。雲取山と七ッ石山はさすがに登山者も多く、落ち着かない感もあったが、鷹ノ巣山方面に向かってからは人もほとんど見かけることのない、静かないい登山だった。
またしても雪に降られたのは想定外で驚いたが(予報にも無かった)、それはそれで楽しく、そして美しい風景を見せてくれた。
体力的には余裕があり、あと1~2日くらいなら縦走を続けられたかもしれない。もちろん休日が先に売り切れるが。

動画を見ていただく視聴者の皆様には、毎回貧相な食事でホントに申し訳無いと思う。
自分的にはあんなメシでも十分に美味しく満足しているのだが、白米にインスタントみそ汁に缶詰じゃあねえ。
軽量化としては食糧が巨大なウェイトを占めるので、贅沢をすると自分の貧脚がもたないので悩ましい。

クリスマス・バージョンはさすがにおちゃらけ過ぎとも思ったが、元々は「極力軽くする」というUL指向については自分の負担にならない分だけ、という注釈付きでやってるし、そもそもストイックなULアウトドアであれば撮影機材が矛盾している。
クリスマスの小道具含めてザック重量が10kgを切ったのだから、自分としては十分満足だった。


テントをクリスマスの電飾で飾る、というのは前から1度やってみたかったので、ちょうどよかったかもしれない。


が、さすがに奥多摩小屋で多くのテントが張られる場所では憚られた。

若干、やり切った感がしてしまったのがちょっとアレだが、とりあえず六ッ石山は登らないで帰ってきたのは良かったかもしれない。
今度は雪の積もっている中ででもやりたいなあ。

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